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微かに感じた違和感を確かめたくて、じっと北山を見つめていると、ふと北山と目が合う
北山は一瞬驚いたように目を開いたが、すぐに視線を逸らした
「……」
何だろう…
北山って、こんな…
「じゃあ、4人の方向性も決まったみたいだし、次の企画なんだけど…」
スタッフの呼びかけに皆がまた会議の態勢に入る
「舞祭組のアルバムもツアーも決まったしね、4人の活動が増えて来ると思うから、その間に北山くんと藤ヶ谷くんで二人旅の企画とかどうかな。」
「は?」
「え…」
楽しげなスタッフに、思わず不快な声を出してしまった俺とは対照に、北山は大きな瞳を揺らして戸惑いを見せている
「キスマイの中でも藤北は特別だからね。ファンの注目も大きい。今はそれを利用する時だと思ってね。」
「……キスマイの…危機、だからですか?」
「そうだ。」
悪びれもせず言い放つスタッフに、当事者である北山と俺以外の5人が苛立ちを見せ始め、渉が耐えかねた様に声を出した
「え…でも…」
戸惑うような千賀の呟き
それを消すようにスタッフは続ける
「言いたい事は分かってる。君たちを振り回す様な事をして申し訳ないとも思ってる。」
「…」
「君達に非がない事は、ここにいる全員が分かってる。けれど、この世界は全て数字で動いてるんだ。どんなに良い物を作ったとしても、数字が出なければ評価はされない。評価がなければ…」
「大丈夫です。俺達が置かれてる現実がどんなに厳しいか…俺達もちゃんと理解してますから。」
静かにそう答えた北山は、厳しい言葉にも視線を反らすことはない
「ずっと皆とやって来て、皆の頑張りも知ってる。だから俺達は皆に負けて欲しくないんだ。」
「ありがとうございます。」
「色々思う事はあると思うけど、俺達も皆がてっぺんに立ってくれる事望んでるから。」
「はい…。」
「その為に不快な思いをさせる事も納得の上で、提案するつもりだよ。」
「はい。大丈夫です…。これからも、よろしくお願いします。」
スタッフと北山が会話を続ける中、俺達は誰も口を開かなかった
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時