【ヒロアカ】私の個性は、人を愛しちゃいけない。【上鳴電気】 (ページ7)

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episode6 ページ7

私の目の前には、会いたくて、会いたくなかった彼。

「なんで……今来たの?」

もう放課後になるのに、彼は門の方からこちらに向かってきた。

「さっき退院して、いろいろ入院の手続きとかしに、今学校に来た」

雄英の制服を着た彼を見るのは初めてだった。

改めて彼が同じ学校に通っていることを意識させられ、鼓動が速まるのがわかった。

「じゃあ、職員室行かなきゃね」

私は早く彼に離れてほしくて、「頑張ってね、ばいばい」と告げた。

「……やっぱり、俺の事避けてるよな」

「そんなこと……」

「俺は、ずっと会いたかった」

目が合った。

彼の真っ直ぐな瞳に捕まって、逃げられない。

「何度も與さん……Aの病室に行ったけど、その度に看護師に止められて。挙げ句の果てに退院したなんて聞かされてさ」

「ごめん、なさい」

「俺に会いたくないのなら、なんで会いたくないのか理由を教えてほしい。何も言わずに離れられるのは寂しい」

そんなの、言えるはずがなかった。

好きだから、一緒にいちゃいけない。

きっとこんなこと言っても彼に迷惑がかかるだけ。

こんなの辛すぎるよ。

私は自分が嫌になって、こんな個性もう捨てたくて。

いつの間にか溢れ出てきた涙は止まらなかった。

「A……?」

上鳴くんは驚いたように私の名前を呼んだ。

「ほんとは、私だって傍にいたいよ……」

ずっと耐えてきた思いが口から零れ落ちる。

「俺だって、一緒にいたい。それなら一緒にいればいいじゃん」

そう言って彼は笑った。

霞んだ視界からでも分かるくらい、優しい笑顔だった。

彼の甘い言葉に、そのまま堕ちてしまいたかった。

上鳴くんは私の方へ近寄ってくる。

私たちの距離が縮まるにつれ、彼を纏う電気が強くなっていくのがわかった。

来たらダメ。

……来てほしい。

そんな葛藤が私の中でぐるぐると渦を巻く。

彼は、自分の個性が私の個性によって増大しているのに気づいていないようだった。

手が届く距離まで来た。

彼は私の頬に手を伸ばす。

その時、私は我に返った。

「……ダメ!触れないで!!」

私の訴えは、彼には届かなかった。

「……っ!!」

雨のせいか、余計電気が強くなっていた。

……なんて馬鹿なことをしたんだろう。

私は身体中に大きなショックを受け、意識が薄れていくのがわかった。

目の前にいる彼が霞んでいく……。