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「(ここは一人目の水晶を割ったところ…さっき僕がやった生徒がいない。場所を入れ変える魔法?)」
「(よし、だいぶ離れたぞ。固有魔法を最後までとっておいて正解だった。このまま逃げ…)」
走り続けるフィンの足から鮮血が散った。
「(足が…痛い…クソ)」
バランスを崩して転ぶ。
「最後の悪あがきってやつか?もう十分に分かっているだろう。僕と君の差が。さあ渡せ。ザコが僕に逆らうな」
カルパッチョが自分の腹にナイフを突き立てた。
「ぐぁあああああ」
カルパッチョは顔色ひとつ変えない。出血もない。
しかしフィンは腹から出血し、吐血している。
「なんだよあの魔法…ダメージが移るのか!?」
「いくら何でもあれはやりすぎじゃ…」
「これだけは渡せない…!こんなヘタレな僕でも…弱虫な僕でも…できないんだよ…友達を見捨てるなんて情けないことできないんだよ!」
フィンに思い出が蘇る。
初めて「友達」と言ってくれた時のこと。
一緒に課題を進めたこと。
一緒に街へ出かけたこと。
「ナルコス」
フィンは魔法を放つ。
「もういい。不快だ」
しかし避けられ、また腹にナイフを突き立てられる。
フィンはその場に倒れ込む。
「できないくせに頑張ろうとする奴が一番イラッとくるんだ。その努力がムダだと僕が分からせてやる」
「(…これだけは絶対に…)」
何者かの手により、カルパッチョの頭が壁にめり込む。
「ムダじゃないよ。僕が来たから。フィンくん、ありがとう」
「マッシュくん…」
「ごめん、遅くなって」
フィンに歩み寄るマッシュ。しかしマッシュの頭から血が滴る。
「あれ?どゆこと?」
「僕は痛みを感じることができない。僕の杖は特別だ」
マッシュはカルパッチョに膝蹴りを食らわす。
しかし自身に威力が返ってくる。
「(マッシュくんの攻撃がそのまま跳ね返ってる?)」
「僕の魔法は自分のダメージをそのまま相手に移すこと。つまり僕が傷つけば」
カルパッチョは太ももにナイフを突き立てる。
マッシュの足から血が噴き出る。
「(傷が塞がった?)」
「一方で僕自分の痛みは全てこの杖に吸収される。僕の意思ではない。傷の無効化、これは最古の杖、マスターケインがもたらす祝福の力だ。この力は杖に選ばれた瞬間からオートで発動し続ける。だから僕は生まれたときから一度も痛みを感じたことがない」
「(魔法界に十三本しかない最古の杖、マスターケインを完全にものにしておる。正真正銘選ばれた才能)」
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ろぉぜさん@リアル多忙につき低浮上(プロフ) - 続編、楽しみに待ってます!! (5月7日 17時) (レス) @page50 id: 322d14085a (このIDを非表示/違反報告)
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