人見知りの神覚者様。１ (ページ2)

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「フィン、アドラ寮だよな？」
「ああ。それがどうした？」

別に…。と歩みを止めずに彼女は話す。

「3人で同じ寮って嬉しいじゃないか」

彼女は表情を一切変えずに話し続ける。

「…そうか」

彼は身に着けているローブの袖をぱっぱっと払った。
何もついていないが。

「レインも嬉しいんだろ？隠し事は通じないからな！」

隠し事は通じない、という彼女は微笑みを浮かべている。

そんな彼女にチッ、と舌打ちをし、レイン、と呼ばれた男子はローブ越しに腕を掴んだ。

「レイン、痛い。私も一応女子なんだが？」
「一応ってなんだよ。オレはお前の細い腕なんて、すぐに折れるぞ」
「それは男女の力の差だろう？レインの力が強いだけだ、怪力なんだから」

強い言葉にも顔色一つ変えず、先ほどとなんら変わらない口調、声色で話す彼女。

彼女の“怪力”という言葉に反応した男子。

「なんだと？どういう意味だ？」
「そのままだが？遂に意味も分からなくなったのか？」

けろっとした態度で応じる。

「でも怪力だったら杖なんてとっくに折れてるし、ウサギの抱っこなんてできねぇな、前言撤回」
「それでいい」

きょとん、とした顔を浮かべる彼女。
“は？”という言葉がぴったりな顔をする男子。

二人は顔を見合わせ、少し表情を緩めた。

「っふふ、3年生がそれでいいんだろうか」
「それはお前にも言えることだろう、A」

A、と呼ばれた少女。

部屋の扉を開け、真っ先に飛んできたウサギをひょいと抱き上げる。

「まぁ少なくとも部屋で可愛いウサギを飼ってるのはココだけだろう」

すりすりとウサギに頬ずりをするA。

「なぁ、レ…いない？」

部屋を覗くと、ウサギを吸っていた。

「Q,どういうことか？」
「A,…そういうことだ」
「ああ、マックス。答えになってないな、ソレ」

マックス、と呼ばれた男、不憫である。

「で、レイン。どうするんだ？フィンに会いに行くのか？」
「行かねぇ」
「マッシュくんは」
「行かねぇ」
「そうか」

“なんだかんだ自分も(一応)兄に甘いんだよな…。もう引きずってでも会いに行くか？”と、思うA。

“でも同じ寮だし、そのうち会えるよな”と思うAもいて、Aは悩んで悩みまくっている。

さぁ、Aはどっちの意見に賛同するのか！？

「まぁ会えるか」

後者だった。

そのうち会える、この意見はあながち間違ってはいないのだが。