四十二 ページ44
山本先生と食堂に行き、その途中でも何個か質問した。その度にそれらを吉野先生にいらない紙を頂いてそれをまとめた紙の束に書き留めていく。
思う存分ベラベラと使い捨てられるので、これは良かった。
夢中になって山本先生のお話を聞いていると、突然ある質問をされた。
シ「りりこちゃんは、どうしてそんなに学びたいの?」
『え?』
いや、山本先生がそう質問するのは当然だろう。
私が何か企てているのかもしれないし、だいたいにしてたかが事務ごときが忍術を学んで何になると言うのだ。
でも私は、勉強が好きなのだ。知らないことを知ることが、何よりも好きなのだ。
『学ぶことが私の生きがいなんです。勉強、いや、学び続けることが、好きなんです』
何よりもストレートな答えしか山本先生に伝えられなかった。
しかし私にとってはそれ以上でもそれ以下でもない。ということを伝えると、山本先生はにっこりと納得した笑みを浮かべて「そう」と言ってくれた。
向かい合わせに座って、さっきの質問の続きやらをしていると、私が何を勉強してきたかの話になった。
具体的な例をあげようとしたものの、短い生涯のうち、私が興味を持ち研究してきたものが多すぎてなかなか困った。
『例えば、磁力とかを研究しました』
シ「磁力?磁石のこと?」
『はい。磁石は、引き合う力と反発する力がありますよね。それは磁石の力が強ければ強いほど反発し合う。
また、私たちの体を流れる血液には、鉄分が含まれているんです。ですから、もしも体中の鉄分をマックスに高められたら、巨大な磁石の上を浮遊できるんじゃないかって、空想して、どうにかこうにかそれを実現しようとしていました』
結局、人間はやめておこう、ということになってリニアの研究に移ってしまったのだけど。
他にも色々と聞かれたので、朝顔を改良して限界まで成長させようとしたことや、様々な事の効率を考えすぎて動けなくなったことを話した。
シ「なかなか面白いことを考えていたのね」
『いえいえ、夢物語をヤケになって現実にしようとしていただけですよ』
シ「そんなことないわ。だって、さっきまでのりりこちゃんの表情、とてもわくわくしていて、目が輝いていたもの」
『ほ、ほんとですか?』
ほとんどが失敗談だったり、アホな話だったから、なんだか複雑な気持ちになってしまったのだった。
58人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時