四十 ページ42
怪士丸
ぱたん、
と図書室の襖が閉められたその直後、僕は腰を抜かして座り込んでしまった。
緊張で足は震えを通り越して棒のように固まっていた。
きり丸、そして先輩たちが駆け寄ってきてくれて、大丈夫かと聞かれた。
見た目以上には大丈夫なので、そのことを伝える。
き「どう言うつもりなんだよ。あの人」
不「びっくりしたね。立てるかい？怪士丸」
怪「は、はい…」
ゆっくりと立ち上がって、落としてしまっていた本を拾い上げて胸のところで抱くようにして持つ。
僕がこうしていたように、天女様も本を持っていた。
先輩達は先程の天女様の行動にあれこれ憶測をたててみているけれど、そうじゃないと僕は思った。
そんな僕の様子に気付いてくれた中在家先輩と目が合った。
さっきので、不思議と本が重ね合わせられた胸には小さな勇気が湧いていた。
怪「僕、天女様はただ本が読みたかっただけなんじゃないかなと思います」
少し目を丸くした中在家先輩には申し訳ないけれど、僕には本当にそう感じたんだ。
能「忍術の本をか？好きものじゃあるまいし」
不「うぅ〜ん…たしかに今までの天女は本なんか読まなかったからねえ」
き「パフォーマンスじゃあないんすかぁ？」
議論しようとするみんなを、中在家先輩が静かに制して仕事に戻ることになった。
みんなの頭にはモヤモヤした疑問が残ったかもしれないけど、僕はひとつ確かな答えを持っていた。それは
あの時同じ所にあった目線と、僕に投げかけられた質問を思い出してみたが、決して悪いものではなかった。
という、小さな小さな経験から生まれた秘密だけれども。
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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます！コメントとても嬉しくて励みになります！ (2019年8月2日 19時) (
レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください！ (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます！初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください！ (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん！この作品とても面白いですね！私、これ読んだ後、｢ふぅ〜面白かった…な…え！？何この題名！？夢主消えるの！？｣って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2018年11月13日 21時
