三十三 ページ35
「ね、僕、りりこちゃんと友達になりたい」
そう小松田さんに言われて、頷いた時、彼は笑ってくれた。
彼が嬉しいように、私も嬉しい。疑うことなくそう感じられた。
突き刺さるような視線を忘れられたのは、きっと私を見てくる人たちのことが眼中に無かったからだ。
ただの喧騒、ただの背景。
私にはこんなにステキな友達がいるんだから。
目が合った小さい子はまるで道端で偶然目があった子犬みたいで、私はそれに微笑みかけるくらい余裕があった。
『小松田さんは、犬は好きですか?』
小「犬?好きだよ!昔、家の近くの原っぱによくたむろってて、お兄ちゃんとエサあげたりしてたんだ。りりこちゃんは?」
『見てる分には可愛いですけど、ふれあうのは慣れません』
小「人懐っこいのは可愛いよね」
『はい。私、犬に追いかけ回されたことがあるんですよ』
小「え!なんで?」
『小さい頃なんですけどね、ナワバリみたいな所で友達と遊んでたら、追いかけられて』
あの時ほど速く走った時はないです、と笑いながら言う。
そりゃ、怖くなってもしょうがないよ。と小松田さんが素直に返してくれるもんだから、私も素直に
『犬って、5歳児程度の知識はあるって言われてますからね、分かるんですよ、やっぱり』
と言った。
暗に、この間の夜のことも示しているのだけどね。
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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時