(未設定)【anm】 (ページ4)

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「ほんとに、すみませんです……」

「いえいえ！！俺の方こそ、無理矢理押しかけちゃってすみません…」

名も知らない青年は布団に収まっている私に温かい視線を向ける。

見ず知らずの人間に対してこんなに優しい眼差しができるのか、この人は聖母マリアの生まれ変わりなのか。

「あなたが来てくれなかったらあのまま野垂れ死んでたので、すごく感謝してます。すごく、」

指一本動かせない代わりに声で精一杯感謝を伝える。

引きつった笑顔で見詰め返すと、青年は視線を泳がせて気まずそうに口を開いた。

「…あの、目のクマとか……大丈夫ですか？」

「え？」

「めちゃくちゃ軽かったし、ただの体調不良とかじゃないですよね。なんか…病院とか、行かないと……」

余計なお世話ですみませんと、何も悪くない青年に謝られた。

むしろ嬉しいのに、心配してくれてありがとう。

そう伝えようと口を開いたはずなのに、声が出ない。

代わりにぼろぼろと涙が溢れてくる。

「え゛っ！？な、なっ、え、すっ…すみません！！あの！！まじで悪気とかなくて本気で心配で！！あーすみません！！！」

「っや、…ちがくて、う」

「てぃ、ティッシュ持ってきます！！」

一向に泣き止まない自分に半分苛立ちを感じながら、見ず知らずの自分のためにあそこまで心配をしてくれる青年の優しさに嬉しい気持ちが溢れ出てしまった。

「はい！動けますか？」

「すみませ…っ、ンン、ティッシュの位置ややこしかったですよね、ありがとうございます…」

「…あはは、めちゃくちゃ探しました」

手渡されたティッシュでべちょべちょになった顔を拭いて鼻をずず、と啜る。

「すみません、何から何まで」

「いや、……あ、すみません。なんて呼べば良いですかね？」

「あ…あ！Aです」

「A…Aさん！可愛い名前ですね！！」

「かわっ……」

不意の"可愛い"に一気に心臓の鼓動が早くなる。

かわいいなんて何年ぶりに言われただろう。

いや、褒められたのは名前であって私では無い、自惚れるな！

「お兄さんのお名前は？」

「俺ですか？俺はー、……めいちゃんって呼んでください！」

「めいちゃん？めいさんですか？」

「いや！！めいちゃんで！！」

「でも」

「めいちゃんで！！！！！」

「は、はい…」