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「 これはっ……たとえ難いですが酷い味です」
彼女に自分で作った薬を一度でいいから飲んでみろと言われたあの日、自ら口に薬を含み彼女に飲ませたワケだが。
好き嫌いせずになんでも食べる彼女が言うだけある、悲惨な味。
彼女が薬を飲んでも男になれなくなった後も、こっそりと薬を飲ませ続けたが未だ変化はない。
「 ジェイド。あまり彼女に餌付けしないように」
「 フフッ……分かっていますよアズール。 学園に上がってから僕達と距離が近くなったのが嫌なんですよね、理解しています」
「 そんなバカげた話はしていません。 調子づかせるな……これはフロイドにも伝えておいてください」
「 はい」
海のはぐれ者。
グズでノロマだと虐められていた僕と異形だと周りから恐れられ避けられていた彼女。
幼馴染という関係は実に合理的。ただそれは、相手が興味あってこそ成り立つだけの知り合った年数をはかるものでしかない。
口元から涎を垂らして締りのない表情で眠る彼女。
ーーー 僕、アズールと同じ学校に行きたい。
ーーー 他の奴らと違って怖がらないのも距離を取らないのも餌をくれるのもアズールだけだからさ。
たったそれだけの理由で。
恋と呼ぶには窮屈であまりにも未熟で
表情に出ない者、言葉に出ない者
曖昧な境界線を引いているのは、お互い様かもしれない
「 どうしたら貴方の心が分かるようになるのか、いつまでたっても分かりませんね」
僕よりも正直者なのに。どうしてだか、掴みきれなくて。
「 なあ、痛いの怖いなら保護魔法で、」
ああ、僕が怖いと思うのは
貴方に拒絶されることですよ。
唇を重ねても、熱の篭った眼差しで見つめても
思いは当たることなく空気のようにすり抜けていく
「 お……?戻った、アズール戻った」
「 言われなくても頭に齧りつかれているんですから分かりますよ」
動揺どころか、反応の一つもありゃしない
そのくせ、
「 貴方がいつまでも喋るから口切ったじゃないですか」
「 愛情表現は痛い方がいいって言うだろ」
「 これが愛情表現なら最悪ですね」
「 アズールぐらいにしかやらねぇからなあ」
そうやってまた、期待させる
自覚してしまえばしまうほど、彼女は残酷だ。
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愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
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