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「 ……ない」
モストロラウンジ閉店後。来客数が多かった為か冷蔵庫にお目当ての食材はほとんど残っておらず、仕方がなくアズールの部屋に行ったら課題をやれと説教された。
「 頭がそこまで乏しいわけじゃないんだから課題ぐらい片付けられるだろ」
「 前から思ってたけどなんで俺に対して丁寧語だったり今みたいな口の利き方になんだ?おまえ多重人格?」
「 口なんか一生開かなくて結構です」
額に青筋まで立てて両頬を引っ張られた。力いっぱい。お陰様で若干ヒリヒリする。
そんな事よりも飯をくれ。などと口を開けば、机の引き出しから缶を取りだし蓋を開けると全部口の中へ放り込む。
「 ダイエットには効果的と言われているハッカ飴です。それでも舐めて少し静かにしてて下さい。僕はまだ課題がありますし、貴方の薬の調合もしなきゃいけない」
「 ……口の中、スースーすんだが」
「 歯磨き粉でも大量に食べていると思ってもらって結構。それとも課題が分からなくて僕に教えて欲しいんですか?構いませんよ?」
怪しげな笑みを浮かべるアズールの顔には見覚えがある。
困ったことがあると駆けつけてくる今まで契約してきた奴らに向けた顔、つまりは此方に契約をさせようとしているらしい。
「 あー……俺やっぱ部屋に戻るわ」
「 課題、まだ終わってないんですよね。写させてさしあげますよ」
「 だから結構だって言ってんだろ」
「 いえいえそんな遠慮なさらずに」
「 なんでお前今日に限ってしつこいんだよ、あと近い」
椅子に座って居たはずなのに、いつの間にか立って目前まで距離を縮められ、オマケに腕はガッシリと掴まれて。ご自慢の怪力で俺を逃がすまいとするのは勘弁願いたい。
あとほんの数センチで顔と顔が重なる。
「 ……Aさん、僕は」
「 おやAさん。部屋に居ないと思ったらやはり此方でしたか」
控えめなノック音と共に現れたのはジェイドで、その片手にはイカ墨パスタ。
離せないと攻防戦も一瞬の隙を付いて逃れ、すぐさまジェイドの元へ。
「 厨房に居なかったので今日はてっきり食べないのかと思ってました」
「 食べ物がないからアズールに強請ったらハッカ飴貰って食ってた」
「 食事前にハッカとは……アズールも意地悪がすぎますね」
口をパクパクとさせるアズールを見て、ジェイドは口角を上げた。
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愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
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