scene 3ー1 ページ7
【3月19日(土)】 1:25 in談話室
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《万里side》
普段はこの時間でも課題を片付ける学生や夜食を取りに来るゲーマーで賑やかになることのある寮の談話室が今日は静まり返っていた。
寮の中は、現実逃避のために部屋に籠ったり外出する人がほとんどだった。
その理由はもしかしたらというのはあるが、現実的じゃないから俺は信じようとは思わねぇ。
俺もそうしたいところだが、同じ組の太一と莇、仲のいい紬さんが消えたとなればリーダーとして色々と知り、対応する必要がある。
と、何となく1人で考え込んでいたら、突然談話室のドアが勢い良く開いた。
「坊は!?」
「うっせえよ!みんな起きんだろ!それに、帰ってねぇ…」
左京さんは肩で息をしながら辛うじてその2文字を発していた。
普段は廊下を走ったり、ドアを勢い良く開けたら怒るくせに、それを忘れるくらいに焦っていることが分かる。
「銀泉会ではなんて言われたんすか」
「そんなやつはいないと言われた…」
「はぁ?」
今の左京さんの言葉はどういうことだか俺の頭でも理解ができなかった。俺の口は自然に左京さんに問いかけていた。
「どういうことだ?」
「だから、会長に聞いても、組のヤツら全員に聞き回っても『会長に子供はいない』って同じ答えだったんだ…」
子供はいない?陰ながらも全力で息子を応援していたあの会長が?俺の頭は、ますます理解が追いつかなくなっていた。
その時、莇が慕っていた1人の男をを思い出した。
「迫田さんも、か?」
「あぁ、そうだ…ところで、学校には電話したのか?」
「あぁ、監督ちゃんにしてもらったよ」
「結果は」
「こっちも同じ『うちにそんな生徒は居りません』とさ。莇も太一両方の学校だ。」
「やっぱりか…」
左京さんは最初から期待をしていなかったようだが、結果を聞いて肩を落としていた。
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作者名:ルクリア | 作成日時:2019年5月16日 15時