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禁忌術*2 ページ20

よく見れば、さっきまでお兄さんが書いていたのだって魔法陣みたいだし。

「えーっと……」

つまりあれだ。この人は所謂中二病を患っているんだ。きっとそうだ。多感な思春期によくあるアレ。うん、そうとしか考えられない。

俺だって一時期は夜中にこっそり起き出して呪文を唱えていたし、気持ちは大いにわかる。

思い返すと布団にくるまって悶えたくなる衝動に駆られるけど、それでも若かりし頃の過ちというやつは誰にでもあるものだ。だから、ここはひとつ優しい言葉をかけてあげるべきだろう。

「ま、まほ、まほうっ、魔法っていいですよね!」

「うン?」

「エクスペクトパトローナム!とか。テクマクマヤコン!とか……えっと、卍解!とか!!」

「卍解ってなにかナ」

「……」
「……」

「すみません忘れてください」

「大丈夫?」

ちょっと大火傷を負っただけです。
お兄さんの憐れむような眼差しが心に刺さる。

「誰しもが通る道だかラ……あまり気に病まなくていいと思うヨ」

「……はい」

なんで俺が慰められているんだろうか。俺はもう完治しているというのに!納得いかない。

「まあ魔法の話は置いといテ。屋上でサボるなら次からブランケットを持っておいデ。4月とはいえまだ冷え込むからネ、ボクだって毎度上着を貸すわけにもいかないシ」

「えっ。これお兄さんのだったんですか?!」

寝ているところを見つけて掛けていてくれたのかな。なんてこった。

「寒かったですよね。すみません、今すぐ返します」

「別に構わないヨ。まだ休んでいくなら掛けておくといイ」

「そういう訳にはいきませんって。風邪ひいたらどうするんですか」

「君よりは丈夫だから安心しテ」

俺の抗議を軽く受け流して、お兄さんは俺の座るベンチの隣へと腰掛けた。

「でもやっぱり悪いです」

いくらお兄さんが優しくても、これ以上甘えるのは申し訳ない。

「……そウ。頑固だネ」

そのとき。お兄さんの顔に一瞬だけ影が差したように見えた。だけどそれは本当に刹那のことで、瞬きをした後にはにこにこと人の良さそうな笑みを浮かべるお兄さんがいた。

気のせい、かな。

「あ、そうだ。暖かい飲み物とか欲しくないですか?制服のお礼にひとっ走り買ってくるので──」

「待ッテ」

立ち上がって駆け出そうとする俺の腕をお兄さんが掴んだ。

「飲み物はいいから。1度、大人しく座って」

笑顔は同じはずなのに。有無を言わせない雰囲気を感じて、気づいたら身体が勝手に元の場所ヘ座り直していた。

……え。いったい何が。

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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです!これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます!! (2020年1月11日 23時) (レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです!!pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します!!これからも影ながら応援しております!頑張ってください! (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです!続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……! (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苺バニラ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年10月14日 12時

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