男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

139、居眠りにはご用心 ページ41

『今日の夜から明日の昼にかけて台風が通過します。ひどい暴風と雨量が予想され、気象庁によりますと…』

そんなテレビの声に思わず書類を見ていた顔を上げた。
夜からか…なら早いうちにお風呂を入りにいかなくちゃまずいなあ。
それは隊長も同じ事を思ったようで、今日は早くマンション行きやすぜ、なんて言ってテレビを消した。

「そうだね…。今のうちに入ってしまおうかな」

筆を置いて一つ伸びをしてから腰を上げた。
あー、今日は一日書類に向き合ってたから体がバキバキだ。

体を伸ばして、一息ついてから立ち上がる。
さっさとお風呂に入ってしまおう。




マンションで風呂に入ってさっぱりしてから居間へと戻ると、ソファーで隊長が横になっていた。
声をかけても反応がなくて、どうやら本格的に寝入ってしまっているらしい。
……まあ、台風が来るまでにはまだ少し時間があるし少し寝かせてあげようか。

隊長が眠っているソファーの向かい側に座って、ぼんやりと隊長を眺める。

ただ眠っているだけなのに、どうしてこんなに見入ってしまうのだろう。

私が隊長を好きだから、なのだろうか。

もう好きという気持ちを消すことも抑えることも出来ないとはわかったけど……。

それじゃあ私は一体どうしたら良いんだろう。

ずっと、この気持ちを抱えたまま。
こんな複雑な気持ちをずっと抱えて生きていかなければならないのだろうか。

私がずっとこの気持ちを抱え続けて、隊長の隣に女性がいるようになったとして。

隊長が別の女性と歩く姿をちょっと想像しただけで胸が痛くて苦しくなる。
本当にそうなった時、私は果たして表情を変えずに隊長のそばにいれるのだろうか。

それでも、そばにいたい。
友人で構わないから。
だから。





「……A、おきなせェ」
「ん………、あ、れ」

いつの間にか眠ってしまったらしい。
目の前いっぱいに広がってる隊長の顔に驚いて飛び起きた。
近くてびっくりした……っ。

「お互い眠っちまったらしい」

外、見てみ。
そう言われて私はマンションの窓から外を眺めた。

…………真っ暗闇の中でもわかるくらいの豪雨の景色が広がっている。
ちょっと待て、寝過ぎた。

これ台風来てしまってるじゃないかっ！

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