133、見守るだけ ページ35
「そりゃ、どういう意味だとっつあん」
「Aはなあ、本当に色々問題抱えててよ。それの所為で恋をした事もなけりゃ、誰かと付き合った事も…友人すら作った事がなかった」
その言葉に、勲は息を飲んだ。
まるで、ずっと一人だったかのような、そんな言葉だった。
「俺と初めて会った時は本当にあいつは空っぽで、ただ命令されたことをこなすだけの人形みてぇな奴だったよ」
それが真選組に入れた途端あれだ、なんて言い、片栗虎はその頬を持ち上げた。
「変わってくれりゃいいと思ったが…本当に変わってくれてな」
「……とっつあん」
「いつかお前らもAが抱える問題に直面するだろ。その時、アイツを救ってやれる奴が必要だ」
それは、きっとアイツだと片栗虎は言い切った。
その視線の先にはきっと総悟がいる。
それが分かって十四郎は大きくため息を吐いた後、タバコを取り出した。
「その問題っつーのは相当ヤバイのか」
「相当だなあ。けど、俺からは何も言えねぇ」
アイツが変わってきちんと自分の考えで反抗せにゃならねぇと言い、片付けた銃を持って扉へと歩き始めた。
タバコを蒸した十四郎は、その姿をじっと見つめたまま声を出さない。
「とっつあん。俺らは…真選組は何があろうとAの味方だ」
「…お前ならそう言うと思ったぜ」
勲の言葉に、「Aを頼むなあ」なんて言って去っていった片栗虎の後ろ姿を見送って、勲は体を起こした。
「んで、どうするんだ近藤さん」
「ん?どうもしねぇさ。俺はあの二人を見守るだけの事よ」
そう言ってもう一度総悟達のいた方向に視線を向けて、にっこりと笑みを浮かべた。
「Aにも、総悟にも。きっちり幸せ掴んで貰わにゃあ、ならねぇだろ」
「…たく。近藤さんの言う通りだな」
そう言って十四郎は笑みを浮かべた。
一方その頃、遊園地デートも終盤へと差し掛かっていた総悟達は土産コーナーで物色をしていた。
「にしてもカトーの野郎なんで観覧車にのらねぇ」
「いやー、加藤には難易度高すぎだろ。観覧車は」
二人きりの空間なんて加藤はきっと耐えきれないだろうと言いながらAはそっと土産のお菓子を手に取った。
「それに…その方が加藤らしい」
「……それもそうだなァ」
Aが嬉しそうにしていて、総悟は思わず肩を竦ませた。
(本当はAと一緒に観覧車乗りたかったが…仕方ねェか)
次の楽しみだと、そう呟いてニヤリと笑みを浮かべた。
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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時