男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

131、餌付け ページ33

幽霊役の人間や絡繰りが出る度にひぃと小さく悲鳴をあげて隊長の腕にしがみついた。
暗いのは別に夜目きくから別にいいけどその分あいつらの姿もよく見えるぅ…っ！
最悪だなんだこれっ！早く出たい！

「そ、総悟早く出ようよ……もう、ひっ」
「……」
「うわこっち見るなやめろっ！？」

怖すぎて隊長から離れられずにしがみついたままゆっくり歩き続ける。
早くなんて歩けない無理。
本当幽霊系は嫌なんだよ本当にっ！！

「…A、」
「なんですかぁっ」
「………くっそ覚えてろよ…っ」

何がだよ！！覚えてろはこっちの台詞だよ畜生！
加藤めアイツなんでお化け屋敷なんて入りやがったつうかなんで遊園地にはお化け屋敷があんだよ！
滅しろ滅びろ消滅しやがれっ！

「あー……。可愛い……」
「幽霊可愛いとか総悟は変態か？！」
「ばーか。…そっちじゃねェよ」

ばーかはこっちの台詞だ馬鹿野郎！！


お化け屋敷から出る頃には私は大分ぐったりしていた。
あー………加藤どこだっけ……。

「ほれ、見失っちまうぞこっち」
「うー……」

隊長に引かれるがまま歩き出す。

「総悟…休憩したい……」
「カトーが休憩したらな」
「ううう……加藤休憩しろぉ…ももさんに飲み物を奢れ……」
「次はジェットコースターでさァ」

ジェットコースターなんて混むだろうが。
もう嫌だ。




昼食の時間になり、加藤達もレストランへと足を運んでいた。
外からそれを眺めつつ、テーブルに突っ伏す。
凄く、すっごく疲れた…。

…にしても、意外と楽しそうにしてたな二人とも。
ももさんも加藤もちゃんと笑顔だし。
これ意外と大丈夫なんじゃないか帰ってもいいんじゃないか。

「A、ちゃんと食べなせェ」

隊長にポテトを差し出され、それを口に含んだ。
あんまりお腹減ってないんだよな……。
胸一杯というやつだ。

「………A、もっと食べろ」

また差し出されたポテトにもう一度噛り付いてため息をついた。

「もう帰らないか…？加藤うまくやってるよ…」
「こんなチャンス逃すわけねぇだろ」
「なんのチャンスだよ」
「……自分で考えなせェ」
「ええ……」

それは横暴というものではないだろうか。
私ごときに隊長の考えが分かるわけないだろう。

「ほれ、」

またポテトを差し出されそれを食べようとして。

……顔が一気に熱くなった。
ちょ、私今さっきまで何してた？！

「チッ。正気に戻りやがった」

うわああ…穴があったら入りたい気分とはこの事か…。

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