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121、万事屋の依頼 ページ23

警察に連絡を済ませ、漸く一息ついた。
これで今回の件は終了早く帰ろうと思いながら携帯を閉じる。
男は背中に腕を回して手錠をかけられていて、這いつくばっている。
起き上がらせないように体重をかけて座れば立つ気力もなくなったようで動かなくなった。

…全く、刃物を持ち出すなんて馬鹿な奴だ。

「A」
「は、……い?」

ぐっと腕を引かれて男の上から立たされた。
そこには隊長がいて、不機嫌な顔を隠す事なく曝け出している。

「終わったならさっさとその男から離れなせェ。あとそこの雌豚もうちのはもう返してもらいやすぜ」
「あらあら…。そうよね、そうだと思ったわ」
「…???」

いやちょっと待ってどうなってるんだ?
依頼主はにこにこと笑みを浮かべながら私に近付いて、そっと腕を握った。

「ほんの少しお話ししたいわ。貸してくださる?」
「…………えっと、隊長」
「……好きにしなせェ」

隊長にあの男は任せて、少し離れたところで女性と向き合う。
話とは一体なんだろうと思っていれば、女性はそっと耳元に唇を寄せてきた。
私も屈んで聞く体制を整える。

「あなた…女の子ね?」
「っ」

思わず体を上げそうになったのを女性の腕が抑えた。
な、何故…。

「わたくし、実は男性恐怖症なの」

…………え???

「だから一目見たときにあら、女の子だわって、分かったのよ」
「え、え??じゃあ、何故…」

男の人を貸して欲しいだなんて依頼をしたのだろう。

「依頼は女性にも見えるくらい綺麗な男の人、が理想だと言ったのだけど…。ほら、女の子だと思えばきっと大丈夫だと思ったのよ。まさか女の子が男装してきてくれるなんて思わなかったわ」

とても楽しかったわ、なんて言って女性は私の腕を離した。

「あの男の子はあなたの好きな人?」
「…………はぃ……」
「そう。良かったわね。大事にされてるじゃない。両思いかしら」
「え?!」

女性は私の腕を引き、隊長の元まで戻ると私の背中を押した。
体勢を崩した私を隊長が支え、距離が一気に縮まる。

「万事屋さまー。ご依頼完了ですわよ」
「お、おう。じゃあ俺らの家に行くか…。お前らも来いよ」


『両思いかしら』
……な、にを言っているんだろうあの人。
両思いだなんて、その言い方はまるで。

「…A、どうしやした?」

隊長に支えられていた事を思い出して慌てて身を引いた。
顔が、熱い。

「な、なんでも…ありません……」

そんなわけ、ないはずなのに。

122、言いたくない事だってある→←120、万事屋の依頼(別視点)



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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時

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