7 ページ7
*
団長室は一番日当たりが良く、明るい朝日が窓から差し込んでいた。
今日が天候に恵まれたことは幸運だ。
エ「・・・そうか。念頭に入れておこう」
リヴァイに指示されたとおり、あたしは昨晩ライナーとベルトルトが見当たらなかった事を、エルヴィンに報告した。
エ「A、くれぐれも気を抜くな。エレンを、そしてリヴァイたちを生かすも殺すも、我々の出す合図にかかっている」
エルヴィンがいつにもまして真剣な表情で、団長としての顔で言う。
「はい」
あたしも、部下として返事を返して気を引き締める。
ふと、椅子に深く腰かけているエルヴィンの前の作業机に目を落とすと、今日の陣形が書かれた図が広げられていた。
あたしはサッと自分の位置を確認する。
エルヴィンやハンジ達の近く・・・そしてリヴァイの位置よりも前・・・
今まであたしはどんな時も、リヴァイの後ろを追いかけていた。
あたしがリヴァイよりも前にいることなんてなかった。
そんな些細なことでさえ、壁外の前だと気持ちを揺らすには充分な理由になる。
エ「A」
陣形図に目を落としたままのあたしにエルヴィンが声をかけた。
あたしは視線をエルヴィンに向けることで、返事を省略した。
エ「今更言うことでもないが・・・敵はいつも我々の想像を超えてくる。今回も例外ではないだろう。敵を捕まえることも目的ではあるが、我々はエレンを失うことがあってはならない・・・それを決して忘れないでくれ」
「ん・・・わかってる」
エ「例え、どんな犠牲が出てもだ・・・」
どんな犠牲が出ても・・・
それは、エレンを守ろうとする任務についている誰の死があろうとも・・・
そういう意味・・・?
エルヴィンの瞳に現れている
ううん・・・
リヴァイだけじゃない・・・
『私』もだ・・・
「兵士である以上、覚悟は必要だよね。ここで起きる全てのことを受け入れるって・・・約束したもんね」
あたしは、ここでリヴァイから強さを学んだ。
信じることの意味も、自ら命を絶つことのおそろしさも、自分の中の潜在的な力も・・・
大丈夫・・・
どんな状況になっても、彼には生き抜く強さがある。
そして彼はあたしにも、生き抜く強さを教えてくれた。
リヴァイを、自分を、信じてる。
*
30人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ico(プロフ) - カレンさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!励みを頂き力が湧きます!頑張ります! (2018年6月20日 15時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - とっても面白いです!これからも頑張って下さい! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 5dabf5f2d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ico | 作成日時:2018年6月9日 14時