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……SIDE IS エルヴィン……
巨大樹の森・・・
ここまでは順調に来た。
私は目前に
そしてふと、その根元のあたりに目をやる。
エ「これは・・・・」
森の入り口に大きく切り拓かれた道がある。
巨人の往来があったようだな・・・
路地に草木が生えていない。
荷馬車も進めそうだ。
エ「後方に伝達してくれ」
私はすぐさま、率いてきた伝達兵に指示を出す。
エ「これより、中列、荷馬車護衛班のみ森に侵入せよと」
伝兵「ハッ!」
ここで我々が罠を仕掛ける。
そしてあとから来るリヴァイ班とエレンを待つ。
敵がそれを追って来れば、半分捕獲したも同然だ。
・・・タイミングさえ間違えなければ。
エ「ハンジ、A、陣形はすでにかなり乱されている。ムダに使える時間はない。説明した通りに罠の設置を兵たちと頼む」
ハ「・・・了解!」
「エルヴィン・・・」
Aがスピードをあげて馬体を並べ、視線を投げかけてくる。
何かを訴えてくるその目は、まだ捨てきれない葛藤を現していた。
リヴァイのことか・・・
口にすれば気持ちが止まらなくなるのを分かっているかのように、Aは声にしない。
まったく・・・
エ「リヴァイは・・・いつも私の判断を忠実に受け入れ、それをこなす。彼には私の命令を
Aはその言葉の意味を飲み込もうとするように、私を見たまま唇を噛んだ。
エ「彼は今エレンを守ることに全力を尽くしている。お前は罠を完璧な位置に設置し、完璧なタイミングで敵を仕留める事に全力を尽くせ。それがお前の感じている不安を消すことへの近道じゃないのか」
森の中の、やや湿った風を切り、Aの髪が馬の走る振動に合わせて揺れる。
私情を断ち切ることが、頭で考えるより簡単ではないことを私は知っている。
簡単にはいかない事を、風が通り抜ける一瞬の時間で決めるのを
「わかった」
Aは一言だけ答えて速度を落とし、後ろで待機スピードを保っているハンジのほうへ下がって行った。
私は手綱を握る手に力を込めた。
この作戦を成功させる。
必ず敵を仕留める。
自分に言い聞かせるように、私は何度も心の中でつぶやいてきた言葉を、もう一度繰り返した。
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ico(プロフ) - カレンさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!励みを頂き力が湧きます!頑張ります! (2018年6月20日 15時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - とっても面白いです!これからも頑張って下さい! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 5dabf5f2d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ico | 作成日時:2018年6月9日 14時