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44.ネックレス ページ45

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「はぁ…」



…忘れよう。


ベッキョニオッパが急にあんなこと…酔ってたのかな。うん。


忘れてあげよう、ベッキョニオッパのためにも。




そう思い、いつの間にか握りしめていたジョンインさんからもらった箱を改めて見る。





…経験が大事、か…。


そうだよね、セフンさん以外の人と食事に行ってみたら…何か、セフンさんへの見方も変わるかもしれないし。



「はぁ…」



もう一度ため息をついて、電話番号とメールアドレスが書かれた紙を見つめる。



後にしよう…今は、どっと疲れた…。



その紙を、ポケットにしまって。



自分が今トイレにいることを思い出し、ハッとして扉を開けると。




「…げ」



扉の前では、セフンさんが腕を組んで仁王立ちしていた。



私は咄嗟にジョンインさんからもらった箱を服の中に隠す。



「すっごい騒いでたけど、何があったの?あと今隠したもの、出しなさい」



目を細めているセフンさん…不機嫌だ、絶対。



「えぇっと…」


「早く」


「はい…」



大人しく、ネックレスの箱を服の中から出す。



「…何、これ」



セフンさんはネックレスを摘んでジロジロと見ている。



「ね、ネックレスです…」


「見れば分かるよ。誰にもらったの」


「だ、誰にもらった、って…じ、自分で、買いました…」



ベッキョニオッパと話しているとあれだけ不機嫌になったセフンさん…


ジョンインさんからもらったって言えば、また不機嫌になるだろう…なんでかは分かんないけど。



「嘘つかないの!俺にはすぐ分かるんだからね!こんなの、Aちゃんが自分で買うわけないでしょ!」


「うっ…」


それは、私にに合わないということでしょうか、なんて。つい、ひねくれた考え方をしてしまう。


「…さっきの客か…」


セフンさんはそう呟いて、何か考え事をしながらまたネックレスをじろじろと見ている。


「変なこと、されてない?」


「へ、変なこと…」


食事に誘われるのは、変なこと…?じゃ、ないよね、さすがに。


「されてないですけど…」


「ふぅん…」


セフンさんは納得いかなさそうな顔をして、ネックレスを箱にしまう。そして、


「はい」


私の方にそれを渡してきた。


「え…」


「素敵じゃん。大切にしなよ」



てっきり、怒られるのかと思ったけど…よく知らない人からこんな高そうなもの貰っちゃいけません!なんて。



…しまった、自分の想像の中で子ども扱いされてんじゃん。


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作者名:LUKE | 作成日時:2020年10月6日 22時

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