検索窓
今日:1 hit、昨日:39 hit、合計:114,266 hit

35頁目 ページ35

「……はぁ、」



寒い。いつの間にかもう冬だ。最近は暖かい日と寒い日の気温差が激しくて、体調も優れなくて──────おまけに、侑司くんは球団のイベントに出ずっぱり。こういう季節って人の体温が恋しくなるよなぁとか思いつつ。侑司くんの帰りをこうして待っている訳だけど。


早く連絡来ないかなぁ、とか、早く既読つかないかなぁ、チャイムならないかなぁ。
……こんなのめちゃくちゃ恋する乙女みたいで、嫌になっちゃう。


もう1回付き合い始めて、半年近く経つんだな。
そろそろ親に───────って侑司くんは言うけど、うちの家族みんな野球好きなの、知ってるのかな。それで私も野球が好きだし、侑司くんを紹介したら騒ぎまくるに決まってるし。

そんなくだらないことを考えてると、玄関から音がする。






「ただいまぁ」


「おかえりなさい」




気の抜けた挨拶をするのはやっぱり侑司くんだ。
う、かっこいいなぁなんて彼氏にする反応か?って自分でも思うけど、
どうしてもこんなに素敵な人と付き合えてるって言う事実を飲み込めない──────それは、学生時代と変わってない。なのに侑司くんは私のことを好きって言ってくれるんだから信じられない。




「あー、ええ匂いする」


「晩ご飯なんだと思う?」


「そういう事ちゃうし…………いや、そういう事なんやけどな、そうじゃなくて」


「??」


「Aがええ匂いするって」



……でも、侑司くんだって同じ洗剤使ってるはずじゃない?
そう言ったらうっ、って言って黙り込む。なんやこの人は。


「抱き締めたいだけなんやけど」


「好きにすればいいのに」


「恥ずかしいやん。……だから、口実」






────────訂正。赤面とか似合わないからやめてくれ……



っていうのは、真っ赤になってしまった顔をそらすための、口実。

36頁目→←34頁目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (133 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
355人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。