ゆらり夏の日 (ページ34)

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「もう1回お願い」

「無理です」

「1回だけやから」

「断固拒否します」

お酒に酔った侑司くんも普段と体力は変わらないようで、私にあと1回、あと1回と続きを求めてくるのだけど。正直先に風呂に入れと言いたい。でもこれは完全にそういうモードだし、明日の朝だったりするのかなぁなんて余計なことを考える。

「俺にはお前しか要らんってことをな、」

「もうわかってるから」

「でも思わん？確かめ合いたくない？」

「いやもう……酔ってるんでしょ」

「酔ってへん」

「嘘ばっかり！！」

そんな会話をしている間にも侑司くんの手はどこから迫ってくるかわからないからとにかく戦闘態勢。常に。それでも向こうが本気出したら私の腕なんて秒で払いのけられるんだろうし、こんなのでも私の気持ちを少しは考えてくれてるのかなぁって思う。

それでも、これ以上はダメです。明日動けなくなってしまう。
──────────でもそっか。明日仕事ないや。

言い訳がひとつ消えてどうしようか迷う私を侑司くんは見逃さない。

「明日仕事ないんとちゃう？」

「いや、ある……」

「ばればれやっちゅーの」

「でもほら、あれやし、夜どっか行くし私」

「いやそれはあかん！」

なんやねんこの人！！ぎゅーっと抱きついて離さない。
これはもう向こうの攻撃中だ。もちろん防御なんかできるはずもなく。

「もう1回」

「……ばか」

体力お化け。
そんなの褒め言葉やでって言いながら笑う。

……あぁもう、私までお酒臭くなっちゃうじゃん。