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「なぁA、機嫌悪くせんで」
「……」
もう知らない。知らない。さっきのことからずっと無視を決め込んでる。恥ずかしいのもあるし、──────というか恥ずかしい、うん。先輩はあの数秒間私のキス待ち顔を見て笑ってたって訳だ。死ぬ、恥ずかしさで死ぬ。こんなみっともない姿を先輩に、?
未だに先輩はにやにやしてるし。
「可愛かったって、な?」
「……」
可愛かったとかで許されるあれじゃないんだよなぁ、しかも可愛かったって言われるのもまた照れるし、もう無理。顔真っ赤だと思う。この顔で先輩の方を向くとかはありえない。醜い。……そんなこと言ったらまた先輩に「自分を卑下しない」って怒られる。
「いい加減付き合おうや」
「……やだ」
「あーやっと喋ったぁ」
「馬鹿」
なんやその辛辣な、とまた笑われる。
……もう、なんとしても喋らないぞ。
「喋ってくれへんの?」
「……」
「じゃあ口無理矢理開けちゃうけどええか?」
「……」
「ふーん、それ肯定って取るからな」
肯定?嘘だ、否定だ。
「付き合おう」
「……」
「俺、真剣やから」
「……」
「Aちゃんとこうやって一緒にいるの、限界やねん」
「え?」
なに、限界ってなに。
「もう、我慢出来る自信ない」
「そんなの」
「大切にしてあげたいからって思ってたけど」
また私の手を握る、目線が固定される。
「好き。答え、教えて」
「え?」
「俺と、付き合ってください」
月の綺麗な夏の夜だった。
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ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縁 x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時