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「はぁ」
リビングに戻ると不意に溜め息が出る。
「なんでそんな疲れてんの?」
「そりゃあ先輩が全く服を渡してくれないからで」
「えーだって」
だって、なんて不貞腐れたような台詞だけど、その顔は笑っている。
もう一度私の体に視線を這わせたあと、
「好きな子のちょっとえっちな姿っていつまでも見てられるやん」
にこにこ笑顔で衝撃的な発言をする。それが金子侑司。
いやその、そういうのに耐性が無い訳では無いけど先輩から言われるのと他の男から言われるのとでは訳が違うっていうか────────ね。先輩とはそういう経験がない訳ですから───
「ちょっとでもなくないですか!?私充分恥ずかしかったですよ!!」
「え、そんなん言ったかてなぁ」
「いやいや有り得ないですから」
「じゃあ俺が納得させたる」
「は?」
全く意味がわからない。先輩は「お風呂借りまーす」なんて言って風呂場に向かう。なんやねんあの人、ほんま変わってる。まぁそんな先輩を好きになったのは誰なんやって話だけどね。
テレビを見たり携帯をいじったりして先輩のいない暇な時間を過ごす。
うーん、やっぱり先輩がいないと静かだなぁって、落ち着く反面少し寂しさも感じる。先輩が遠征してる間はずっとこうなんだけど、慣れない。……彼氏じゃないのに。
考えに耽っていると風呂場から先輩の声がする。
「なぁ、部屋着そっちに忘れた」
「なんで同じ過ちを繰り返すんですか!学習してください!!」
「ごめんごめん、ちょっと持ってきてや」
「う、」
仕方ない。先輩のかっこいい声で頼まれたら断れない。甘すぎる?……そんなことない、はず。
「先輩、開けますよ」
「んー」
扉を開くと、んーと肯定の返事をしたとは思えない先輩の姿。
タオルを腰に巻いただけの、水の滴る裸の男。
──────────おい!!
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ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縁 x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時