19頁目 ページ19
もう一度、なんてダサい。
ダサくてもよかった。体裁なんて気にしてられなかった。
私に先輩を好きになる資格はないと思う、からこそ、先輩の想いを確かめたかった。
「ほんまはずっと、好きやったくせに」
「……」
「別れたあとも、別れるときも」
そう。そうだよ先輩。やっぱり全部知ってるんだね、私のこと。
「俺はAのしたいようにしてほしい」
「先輩はいつもそうやって優しいんですね」
「俺が勝手に好きって言ってるねん、ええやろ?」
「じゃあ、私も先輩が好きです」
「じゃあって何?」
笑った、やっと笑えた。長年の呪縛から解放された気分だった。
好きと付き合うはまた別で、付き合いたくないって言ったらそれは嘘になる、けど。
「今度こそAが覚悟できるまで待つから、俺」
「うん」
「それまで、俺のことがっつり好きになっとけよ」
「先輩らしいですね」
名前を呼ぶのも、もう少し後でいい。
自由でいい、好きなようにしていい。
「とりあえず他の男好きになるのはなしやで」
「そんなことあるわけないです、先輩こそ駄目ですよ」
「ゲンは」
「源田さんはまぁ……男の人ですから大丈夫ですけど……」
よかったぁと言わんばかりの笑み。
────────まぁ、ここには関わらない方が良さそう。
源田さんとはその、友達以上恋人未満?いや恋人以上?……いいか。
「ゲンが嫉妬しちゃうかもなぁ」
「向こうも向こうで色々あると思いますし」
「いやいやわからへんよ?」
……タメ口も、もう少し後でいいや。
今は、それこそ友達以上恋人未満のこの関係を、楽しんでいたいから。
355人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃみ - お話惹き込まれて一気読みしてしまいました…!ドストライクで凄く好きです。素敵なお話をありがとうございます。いつかまた更新されることを願っています! (2021年5月6日 0時) (レス) id: d0e9746bc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:縁 x他1人 | 作成日時:2019年7月24日 22時