狂者が二人。 ページ29
☆
俺たちもタダで閉じ込められていたつもりはない。拘束具を取ろうと奮闘していたし、なんなら数人は外せている。希望の見えた光を見つめて拘束具がほぼ取れていたタケミっちと取ることのできた柚李羽、そして千冬が助けを呼びにいくと俺たちに向けて言った。
..
それに縋るしかなかった。でも列記とした希望だった。とりあえず居場所の確認とヴィランについての情報を..と簡潔に纏めて千冬とタケミっちに話す。分かったと頷いて扉へ向かおうとしたその時、真っ先に扉の前に立っていた柚李羽が悲鳴を上げた。
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「まァ...逃げようとするよな、普通」
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そこで初めて、..いや改めてココがどこなのか。［ヴィランの住む地獄］なのだと実感した。鈍い音を立てながらコッチに飛んできた柚李羽は扉の前に立つ男に蹴っ飛ばされたんだ。すぐに駆け寄るタケミっちと千冬はその男を睨んだが男は怯む様子もなくAに近付いていく。
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「はッ..ぐっすり寝てんじゃねェよ」
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付けていた手袋を外してから、自分の唇をAの額に当てた男は満足そうに笑った。それはとても愛おしい目で、狂った笑顔だった。Aの頭を撫でた後で嫌そうにまた手袋を付けると次は柚李羽へと近づいていく。恐怖で怯える柚李羽の胸倉を掴み上げて、今度は歪んだ顔で笑ったんだ。
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「俺も、Aみたいに危害を加えないと思ったか？」
「ッ..！」
「図星みたいだな」
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そんなわけないだろ、
男が呟きつつ笑う姿に離せと殴りかかろうとするタケミっち。だが男はタケミっちまでよ蹴っ飛ばし、柚李羽を掴んでいた手を離した。まるで汚いものを触ったかのように手を払って俺たちを見下ろす。幾つのも火傷跡が映える男_____荼毘は嘲笑うかのように口を開いた。
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「Aはそうでも俺はそうじゃねぇからな。お前らを殺したところで俺がアイツの復讐を果たしてやれば良いだけだろ？」
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［何も間違ったことは言っていない。］そう言いたげな視線を送りながら今度こそ手袋を床に落としてAに触れる。俺は咄嗟に［俺たちを殺◯したらAに嫌われるんじゃないのか］と呟いていた。荼毘は俺を数秒見つめた後で［かもな］と呟いて笑っていたんだ。
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「お前らも薄々気付いてるだろ？［Aはヴィランになりきれない］とんだお人好しの善人だ。でも、そんなコイツが恨んでしょうがないっていう相手がいるんだ。俺はそれを達成するためなら嫌われようが怒鳴られようが...何だってやってやるさ」
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橙沼(プロフ) - もう更新されないんですか…？この作品凄く好きです。 (12月30日 17時) (
レス) id: 672b289667 (このIDを非表示/違反報告)
👾 - 最後の荼毘くんのセリフかっこいいでか (2022年4月5日 7時) (レス) @page29 id: 3421e64136 (このIDを非表示/違反報告)
黒百合 - 更新まってます (2021年11月20日 21時) (レス) @page27 id: 3421e64136 (このIDを非表示/違反報告)
夾(プロフ) - リィさん» そうです！ちょっと変えて使ってしまいました･･･(汗)気付いてくださって嬉しいです！更新頑張ります！これからも宜しくお願い致します！ (2021年10月22日 23時) (レス) @page20 id: 54a1d0bb57 (このIDを非表示/違反報告)
リィ(プロフ) - 目標が2人のページ！！！！魔法少女サイトの管理人 弐だぁぁ！！！あっちょっと質問。弐のセリフをちょっと変えて使ったんですか？すっごいおもしろくて大好きになりました！！！更新頑張ってください！！！ (2021年10月21日 12時) (レス) @page7 id: 3d8772a864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夾
| 作成日時：2021年10月19日 20時
