62..... ページ12
「なんでそんなに失敗すんのが怖いの？なんかあったりする？」
目を逸らしたまま何かに怯えるAに、理由を聞いてみた
まるで、文化祭一つで死んでしまうかのように、酷く焦り悩んでいるのが気になった
うちらが絶対に成功させるぞ！と気合いを入れてるのとは明らかに違う。その温度差の理由を聞いてあげなくちゃと思った
「それってさ、前Aが教えてくれた事と関係してる？」
一度目にAが部屋に来た時、どうして彼が女性に依存するのか理由を聞かせてくれた。
それは、彼の幼い頃の境遇が理由だった。彼の母親の話は酷かった。それはもう耳を塞ぎたくなるくらいに、嫌な話だ
Aは母親に性的虐待を受けていた。彼は何があっても母親に、命をかけてその身を捧げるようにと教えこまれ、身体、お金、時間…全てを母親に捧げさせられたらしい。
だからAは『愛は命をかけて捧げる事』という洗脳から未だに逃れられていない
同じように全てを沢山の人から注がれないと、愛されていないと感じられないらしい
今回の件も、その母親からの洗脳が関係してるのかと思った
『ははっ、違う違う。んー…なんだろ、正直に話したら信じてくれる？』
Aは少し吃りながら、うちの様子を伺ってきた
そんな彼に、迷わず即答する
「当たり前じゃん。信じるよ」
『……！ …ありがと』
彼は少し口元を緩めると、私に感謝した。いつもと違って、あどけないそんな彼に本当の姿が垣間見えた気がした
いつもスカしてて、フラフラとしてて掴み所のない奴だと思ってた。
…だけど、ようやく安心したみたいに肩の力を抜くAに、左胸が締め付けられる感覚がした
『俺、この文化祭が失敗したら死ぬんだ』
「………………」
まさか。
そんな事がある訳ないじゃん。たかが文化祭で、なんでAが死ぬの？意味分かんない。
『………なんてな、冗談だから忘れ…』
「信じるよ、その話」
…なんて思うのが普通なのに、案外あっさりとAの言葉は飲み込む事が出来た
「Aさ、もしかして何回も死んだりしてない？」
うちの中の、『最初に出会った時のA』と『今部屋で怯えてるA』のなんとなくの違いが、ここに通じるのかな…と思った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 836人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さる - 私を何回尊死させる気ですか？！？！ (1月2日 5時) (
レス) @page27 id: ff6fc14333 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - え？え？終わった？え？怖い...ギャァァって声が出た...え？やば、え？？轟くんが少し怖い...ぇ、もしかして惚れ薬選んだらずっと夢主くん...あっ......怖い...心臓バックバクです... (11月7日 19時) (レス) @page27 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
marimo03250226(プロフ) - 終わり方すきすぎます… (2023年2月18日 20時) (レス) @page27 id: aa76c2eb87 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 最後ゾワッときた。ホラー漫画かと思ったぐらい面白かったです。 (2023年1月16日 22時) (レス) @page27 id: ab7be6f3e6 (このIDを非表示/違反報告)
もぶおぢ！(プロフ) - えっ…えっ…死ぬほど面白いでした…えっ…終わり方怖いし熱いし…凄すぎる…狙ってか分かんないけど続く（更新停止中）なのがこっちからは見れないけど地獄は続いてるんだ感あって大好きです…… (2023年1月9日 1時) (レス) @page27 id: 2bc90df2d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒兎 | 作成日時：2022年2月19日 10時
