狂気に笑う ページ40
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呪霊の後頭部を足で地面にめり込ませ、掴んだ両腕を引き千切ろうとしていた。
成す術もなく倒れる呪霊が悲鳴の様な声を上げていた。
「セーイッ――」
五条が声を掛けようとした瞬間、呪霊の両腕が引き千切られた。
『――ハハッ……アハハッアハハハハッ!!』
雨の様に降る呪霊の血を浴びながら、須田が声を上げて笑っていた。
捥げた腕をその場に投げ捨て、頭を踏み付けていた足に力を込めた。
メキメキと軋む音と呪霊の呻き声が重なる。
ぐしゃり、と果物が潰される音がなり、勢い良く呪霊の血が噴き出した。
ぼぉっと呪霊の身体が燃え上がり崩れていく。
呪霊の血を全身で浴びた須田は、静かに笑っていた。
その光景を黙って見ていた五条と夏油。
「……誠一」
静かに夏油が声を掛ければ、漸く須田がこちらを振り向いた。
須田はケラケラと可笑しそうに笑っていた。
光を失くした瞳が五条達を捉え、更に笑みを深めた。
良く見れば、須田の腹部に短剣が突き刺さったままだった。
それと、須田の首や胸、腹部に数ヶ所、切り裂いた様な痣が赤く浮かんでいた。
それを見た五条が表情を歪めた。
「セーイチ……テメェ自分を刺したなっ」
『ハハッ、アハハハッ、クククッハハハッ』
暫く焦点が合っていない須田が、腹部に刺さった短剣を握った。
「っ!! 止めろっ!!」
五条が止める間もなく、短剣は横へと走り、須田は腹を切り裂いた。
血が噴き出すも、術式が発動しすぐに塞がったが、裂かれた痕が痣の様に赤くなった。
口からだらだらと涎の様に血は振りまきながら、それでも須田は笑っていた。
「くそっ、ハイになってやがる」
「どうする悟」
「……止めるに決まって――」
そう言って一歩須田に踏み出した時、須田の笑い声がピタリと止んだ。
手から短剣が放れ、カランッと地面へと転がった。
『……あ……っ……』
須田の体が傾き地面に倒れた。
「っ! おいっセーイチっ!!」
「誠一っ!!」
意識を失った須田の体温が、急激に下がって行く。
「今すぐ高専戻るぞっ!!」
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腐男子 - あんまりわかんないですけど五伏コンビが見たいっす。 (2022年1月21日 18時) (レス) id: af98c525c3 (このIDを非表示/違反報告)
家具が高い - パパ黒と絡むのは新鮮!面白かったですー! (2022年1月10日 17時) (レス) @page50 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - REBORN!ヲタクは今日も尊死するさん» ご指摘ありがとうございます! 夏油なら言いかねないけどここは間違いですね! 訂正して置きます。 (2021年12月5日 0時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
REBORN!ヲタクは今日も尊死する - 37話で夏油の「行ってらっしゃい」が「行ってらっちゃい」になってましたよ?ワザとでしたらすみませんッッ! (2021年12月4日 23時) (レス) @page37 id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
輪廻 - リクエスト!!体調不要で吐きそうで吐けなくて困って時に、夏油に見つかって夏油の指喉に突っ込まれて[ごめんね]とか言われながら吐く感じのを見たいっす!! (2021年11月16日 19時) (レス) @page45 id: 23123a7f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年9月19日 17時