廃病院にて ページ33
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目的地の廃病院に到着した。
地元では有名な肝試しスポットらしく、足を運ぶ者が多いだとか。
その所為で呪霊が何度も出現する様になり、2級相当が生まれると言う面倒事に発展した。
「それでは須田君、帳を下ろします。終わったら連絡を」
『はい、行って来まーすっと』
俺は呪具の刀を腰に差し、廃病院へと足を踏み入れた。
どんよりとした重い空気に包まれる。
『肝試しっつったらやっぱ手術室か? それとも遺体安置所?』
くるくると刀を回しながら奥へと進めば、出るわ出るわ蝿頭の大行列。
細々とした奴等を蹴散らしながら、偶に飛び掛かって来る4級を薙ぎ払う。
更に進めば3級の中の下程の呪霊がちらほらと姿を見せた。
等級が上がるなら大本命の2級様も何処かに居るだろう。
歩みを進め、手術室の扉の前で立ち止まる。
ギギギと軋む音をして開ければ、放置された手術台とそれに向かって佇む影。
【メ、メス、マス、イ、ハイリマス】
ぐちぐちと柔らかい何かが搔き混ぜられる音が台の上から聞こえた。
獣臭と血生臭さ。
何日も放置された動物の死骸が幾つも転がっていた。
俺は呪霊を見つつ、扉をわざとらしくノックした。
『おいヤブ医者。お医者さんごっこなら他所でやりやがれ」
音に反応して呪霊がこちらを見た。
その瞬間、手元で弄っていた獣の血肉を飛び散らせながらこちらに向かって来た。
すぐに後ろへ飛び攻撃を避けながら、間合いを詰めた。
呪霊の身体から腕が伸び、メスの様に尖った刃先を伸ばした。
刀で弾けば鋭い金属音が鳴り火花が飛び散った。
真一文字に刀を振った。
呪霊の体に刃が食い込んで切り裂いた。
しかし、刀が体の中央で止まった。
ギチギチと呪霊の体が硬化して、刀を押さえ込んだのだ。
『あっ!? 汚ぇぞっ――うおっ!!』
顔面擦れ擦れにメスが迫り、俺は刀を捨てて後ろへ飛んだ。
額を少し掠って血が流れる。
俺の血を見て呪霊が嬉しそうに奇声を発した。
『血見て興奮してんじゃねぇよ変態がっ』
だらだらと流れる血を袖で拭って、拳を握る。
『鼻血出しても知らねぇぞ』
瞬時に呪霊の目の前まで飛び、顔面に拳を叩き込んだ。
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腐男子 - あんまりわかんないですけど五伏コンビが見たいっす。 (2022年1月21日 18時) (レス) id: af98c525c3 (このIDを非表示/違反報告)
家具が高い - パパ黒と絡むのは新鮮!面白かったですー! (2022年1月10日 17時) (レス) @page50 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - REBORN!ヲタクは今日も尊死するさん» ご指摘ありがとうございます! 夏油なら言いかねないけどここは間違いですね! 訂正して置きます。 (2021年12月5日 0時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
REBORN!ヲタクは今日も尊死する - 37話で夏油の「行ってらっしゃい」が「行ってらっちゃい」になってましたよ?ワザとでしたらすみませんッッ! (2021年12月4日 23時) (レス) @page37 id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
輪廻 - リクエスト!!体調不要で吐きそうで吐けなくて困って時に、夏油に見つかって夏油の指喉に突っ込まれて[ごめんね]とか言われながら吐く感じのを見たいっす!! (2021年11月16日 19時) (レス) @page45 id: 23123a7f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2021年9月19日 17時