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怪盗一目惚れ ページ7

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「そ、それを返しなさい!」

「え? うお!?」

 突然襲いかかってくる彼女に、快斗は何とかその攻撃をかわした。

「ま、ちょ、待って」

「この泥棒!」

 次々に繰り出される握り拳や鋭い蹴りを必死に避ける。

 今の彼女には寝ていた頃の大人しさは消え去り、どんな手を使ってでも宝石を取り返そうとする鉄の意志が感じられた。

 だが、そんな攻撃的にならずとも、快斗の方も目当てでなかったのでこの宝石を返すつもりなのだ。

「わかった返すから、オッ、うわっ」

 しかしこのままでは自分が返すよりも先に、自分の命が危うい。どうにか彼女の攻撃をやめさせねば。

 そう思い、快斗はナーシェレを収めた手をベランダの外へと突き出した。
 これ以上攻撃をすれば、快斗の手の中の宝石はベランダ下に真っ逆さまである。それをみた彼女は、焦って攻撃の手を緩めた。

「あっぶねー…死んじまうとこだったぜ…」

 ハアと大袈裟な息を零して身体を楽にする快斗に対して、目の前の彼女は、快斗の手の内の宝石が落とされまいかと、緊張に満ちた顔をしていた。

 快斗はそんな彼女を見て、一つ軽い咳をして、くだんの紳士的な表情を浮かべた。

「怖がる必要はありません。それほど大切な宝石ならば、これはお返ししましょう」

「………ほんとうに?」

「ええ」

 彼女は快斗の言葉で少しだけ安堵したようだった。しかし、その目には疑惑の色がありありと滲んでいた。

 さてどうしたものか。
 このまま宝石を彼女に渡して、適当な所に飛び、彼女を降ろすのもひとつある。しかしそれは少し気に入らない。

 もうちょっと何か出来れば…。

 そう考えたところで、快斗は一ついい事を思いついた。

 

第三話 怪盗からの選択肢→←怪盗一目惚れ



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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