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怪盗キッドについて ページ45

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 たわい無い会話に花を咲かせていると、不意に部屋に小さな電子音が響いた。聴き慣れぬ音にAが話を止め、耳を澄ませて辺りを見回していると、キッドがサッとポケットから携帯を取り出した。

 キッドは携帯の着信画面に浮かぶ『ジイちゃん』の文字列を見ると、Aに一言断りを入れて、急いで通話を開始した。

「もしもしジイちゃん?」

『ぼっちゃま、挑戦状です』

「挑戦状?」

 電話越しに届く寺井の焦り声に、キッドは何があったのか尋ねた。

『今朝の朝刊に、鈴木財閥相談役の鈴木次郎吉氏からのキッドへの挑戦状が掲載されているのです』

 寺井はその文面を読み上げた。
「怪盗キッドに告ぐ!」という見出しから始まるそれの内容は、ビッグジュエルである『大海の奇跡(ブルー・ワンダー)』を盗めるものなら盗んでみろという、非常に明快なものだった。

 キッドはそれを聞いて、所持者からの挑戦状という初展開に一瞬頬が引き攣りそうになった。


「OK。じゃあ今メールで返事を送るから、それを鈴木次郎吉っつーその爺さん宛にうまく送ってくれねーかな」

『わかりました。ぼっちゃまもお早めにお戻りください』

 はいはいと適当に返事をしてキッドは電話を切った。するとAが「何の話をしていたの?」と尋ねてきた。Aには日本語の会話は少しも聞き取れないのだ。

 キッドは彼女に向き合い「私宛てにどうやら挑戦状が出たようです」と教えた。
 挑戦状までくるのかとAは目を大きく開いたが、正直キッドも殆ど同じ気持ちだった。


 携帯のメール画面から、寺井に向けて次郎吉氏宛のメールを作成していく。

 Aはその文面を横から覗いていたが、やはり全く読めないので、途中で画面から目を離し、予告文を考えるキッドの様子を眺めていた。

「BlueWonder…これが挑戦状の中身なの?」

 追伸文を読み、ようやく見慣れた文字列を見つけると、Aはキッドに問いかけた。キッドはそうだと頷き、そのまま軽く全体を読み返してメールを送信した。

 Aはそのキッドの様子を見ながら、彼が本当に怪盗であることを再認識させられた。


 それからキッドは携帯を閉じて、また先程の話を再開して欲しいとAに促し、Aもその通りに話を戻した。

 しかし、暫くしたところで「あのね」とAがやけに神妙な顔で話を切り出してきた。

 

怪盗キッドについて窟←第十五話 怪盗キッドについて2



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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