怪盗キッドについて ページ42
.
「突然ねえ…一体、どうしたのよ。宝石と一緒に連れてかれた次の日でも聞いてこなかったのに」
「それが最近ちょっと興味が湧いてきて…」
「最近って…」
アンナはまるで可笑しな物を見るような目つきでAを眺めたが、首を傾げながらも「まあ、いいわ」と一応は快い返事を返してくれた。
自分もそれほど詳しくはないのだと前置きを入れながら、アンナは昼休憩の合間にAに以前中森警部から聞いたというキッドの情報についてある程度話してくれるのだった。
「絵画とかも盗みたいだけど、大きい宝石に目がないっていうのは有名ね」
「じゃあナーシェレを狙ったのも、やっぱり大きいからなのかしら」
「そうでしょうね。そうそう確か……一度突然姿を消したとも言っていたわ。八年前だったかしら? 今また活動し始めたから余計に話題になっているのよ」
Aはアンナのその言葉に疑問を抱いた。
「八年前って、随分昔だけど…そんなに前から怪盗キッドは活動しているの?」
「そりゃ、だって十数年前からいるもの」
当然だと言わんばかりに答えたアンナに、Aは動揺を隠せなかった。
アンナはそんなAにどうかしたかと尋ねたが、Aは何でもないと首を横に振って、何気ない表情を保とうとした。
しかし、Aは、十数年前から怪盗をしているという事実が、気になって仕方なかった。
どう考えても今迄Aが目にしてきたキッドの顔は、勿論素顔をそのまま見たわけではないが、それでも二十代か若しくは十代のものだったのだ。
それが、十数年前から活動しているとなれば、キッドは赤子の頃から活動していることになる。
自分から持ちかけた話題だというのに、Aは既にアンナの言葉が耳に入らなくなっていた。
Aの脳裏には先日のキッドの慌てたり困ったりと忙しなく、一見普通に感じた表情が蘇った。記憶の中のその若々しい顔が、今では、Aの全く知らぬ別人のように思えた。
『怪盗キッドが何者なのか』その疑問だけがAの頭からついて離れなかった。
それと同時に、自分はキッドのことを何も知らないのだな、と改めて感じて、Aは少しだけ寂しい気がした。
419人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋 - 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ