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怪盗の言葉 ページ16

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「いけませんか。必要なければ、捨ててくれればいい」

「……でも…」

「それか、私がこの店に入ったら、まっすぐあの道を行ってください」

 きっと大通りに出れば、貴方を探している警察官の一人や二人、あっという間に見つけられる。

 キッドが指差した先には、彼の言う通り、車がよく通う大通りがあった。

 確かにこのコートを脱ぎ、目立つ場所にいればAは数分で保護されるだろう。
 Aは、キッドの言葉に胸が締め付けられるような気がした。

 Aは選択を迫られていた。

 服のポケットには、ナーシェレが収まっている。このまま逃げてしまえば全てが終わる。午前零時を待たずとも良いのだ。宝石と共に早く帰れば、その分きっと奥様もお喜びになることだろう。

「………」

 キッドはAの苦渋の顔を見た後、何とも言えぬ表情のまま、一言も話さず宝飾店の中に入ってしまった。Aはその背を見送った。

 どうしよう。
 その言葉がAの頭に始終巡っていた。

 最初は渋々だったキッドとの時間が、終止符を打てるとなった今では、手放していいものかわからなかった。

 確かにキッドとのこの数時間はナーシェレの返還をかけて始まった。宝石を取り返した今は、彼の願いを叶える義理はAに一切ないのだ。

 けれど、Aが決断を迷うのは、ただ、「貴方に忘れて欲しくない」と言った時の彼の表情が目に焼き付いているからだった。

 Aは無意識のうちにぎゅっと服を握りしめていた。布越しにポケットの中のナーシェレの硬い感触がした。

 

第六話 怪盗から警察へ?→←怪盗の言葉



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- 一気読みしました!めちゃくちゃ続きが読みたいです!待ってます! (2022年9月13日 8時) (レス) @page48 id: 08a0986ba6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月10日 14時) (レス) @page48 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - shibuyuさん» ありがとうございます!続き早くお見せできるように更新頑張りますね(´˘`*)! (2019年7月11日 0時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 怪盗キッド!私も大好きなので萌えます!早く続きが見たいなー!なんてっ♪ (2019年7月8日 17時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫@さかなねこ(プロフ) - くろばさん» ひゃ〜〜めちゃくちゃ嬉しいお言葉ですありがとうございますー!これからもドキドキキュンキュンしていただけるように頑張りますので楽しみにしていただければ幸いです〜! (2019年7月4日 22時) (レス) id: e45d5a1191 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月22日 2時

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