Non SALT. 【 佐 野 玲 於 】

ep.9 ページ9

＊


玲於「いや、そうじゃなくて…」


何かを言いかけた時、
玲於くんの携帯の通知音が鳴る。


誰かから連絡が来たみたいだ。


(何を言いかけたんだろう…)


玲於くんの方を見ていると
彼も一瞬、私の方を見た。


しばらくして
携帯をポケットにしまうと
「はあー、」と深く息を吐く。


A「あの、、皆さんに挨拶したら
今日は帰りますね。」


玲於「…帰んなくていいよ。」


A「え…」


玲於「いや…さっきはさ、
初日で疲れてるみたいだったから…

今日は帰って休んだ方が
良いんじゃねぇかと思って…

…ああ言ったんだけど…」


彼はポツリポツリと言葉を繋いでいく。


玲於「これからアンタの歓迎会するって
知らなくて………ごめん。」


思ってもいなかった彼の優しさに
胸がきゅうっとなった。


A「佐野さん…ありがとうございます。」


「おう。」と一言だけ言って
恥ずかしそうに私に背を向けた。


玲於くんの耳が赤くなっているのが
後ろ姿からでもわかる。


そんな彼が可愛く思えて、
自然と笑がこぼれた。


＊

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