連絡先:Bunkei ページ35
彼はいつも掴めない人だった
私と彼が知り合ったのはたまたま入った喫茶店で、たまたま隣のカウンター席に腰掛けた人がたまたま私の広げた資料にミルクを零したからだ。
お詫びを称して...というナンパは経験した事がある。しかし彼は連絡先を教えられないから来週ここに来て欲しいと言った。お詫びをしたいのか、はたまたしたくないのかよく分からない提案に頷いた私は1週間後そのカフェへとやって来ていた。
あの日のあの席に彼は居た。
『こんにちは』
｢こんにちは。コーヒーでもどうですか？｣
『買ってきます』
｢それは流石に僕が買います｣
スマートに椅子を引き私を誘導した彼は私が飲むドリンクを頼んだ。カフェラテとコーヒーどっちがいいですか。カプチーノがいいです。そんな気がしてました。そんな薄いような濃いような会話をした事は覚えてる。ただ一緒に飲み物を飲み、世間話をする。これに一体なんの意味があるのだろうか。
『これは...お詫びですか？それともお茶しない？のあれですか？』
｢これはお茶しない？のやつです。お詫びはこの後に取ってあります。｣
『きっと順番間違ってますよ、私が怒りっぽくなくて良かったですね？』
｢知ってました、怒らない人だって。｣
これはあれだ、ただ隣に座った人が知人に昇格する瞬間を今経験してる。そしてこの後また家に帰ると知人が他人に降格するのだ。
｢それで、お詫びなんですけど...何か欲しいものはありますか？｣
『有意義な休日が欲しいです』
｢その休日には僕が居てもいいものですか？｣
『てっきり今日で終わらせたいのかと思ってましたが、私は構いませんよ』
｢次のお休みはいつですか？｣
『今週末金曜日です』
｢ここに10時待ち合わせは如何ですか？｣
『分かりました』
また彼は連絡先を教えない。彼と交わす約束2回目を迎え、そして3回目の約束を交わす。それが4回目、5回目と続き、気付けば初めて会った日から半年が経っていた。未だ彼は連絡先を教えない。
今私はとても雰囲気のいいレストランでジュエリーボックスを向けられている。
｢あなたと結婚したいです｣
『連絡先も知らない私とですか？』
｢連絡先よりもあなたを知ってます。それに意味がある。｣
『連絡先を教えてくれるなら結婚します』
｢箱を開けてください｣
中には指輪と小さな紙が。11桁の数字の羅列を携帯に入れた。その登録名は 夫 と記されている。
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むう - めちゃくちゃ大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月7日 22時) (
レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです！！ (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴあ
| 作成日時：2020年3月11日 21時
