放任主義 続:Tetsuya リク ページ31
私の身体を這う手、中に入る男の身体、そして終わり。その全てに感情が湧かなくなったのは、てつやを突っぱねたあの日からだったと思う。せっかく作ったせふれにも感度が悪くなって面白くないと言われ、てつやともなんだかぎこちなくなり、手に入ったのは尻軽に徹する捨て身の紛らわせ方だけだった。
数週間ぶりにてつやがうちに来た。他愛もない話をしながら出前のご飯を食べ、彼の仲間の話を聞きながらお風呂に入った。もちろんそのあとは共にベッドに入ったものの、やはり私の気持ちは動かない。なんでこうなっちゃったんだろう。私に跨る彼は好きな人だった筈なのに。いや、今だって好きだ。好きという気持ちに蓋をし続けたせいで私は愛し方を忘れてしまったのかもしれない。目の端から枕へ涙が流れ落ちると、私の上で腰を振るてつやはピタリと止まった。
て「ごめ、痛い?」
『大丈夫、何もない...』
て「ごめん、辞めよっか...」
傷付いた顔をして私から離れたてつやを見ると、やりきれない気持ちが溢れて止まらなくなる。気持ちの決壊は涙腺にも作用して涙が止まらない。慌てて顔を隠すと彼は私の肩を抱くように身体を起こした。
て「なぁ、どうしたん?俺の事嫌いになった?触られんのも嫌?」
ふるふる首を振り彼を見るといつものてつやでは考えられないほどの真剣な目が私を射抜く。
て「なんで悲しいか教えてよ、言ってくれんと俺なんもしてやれんよ。」
『っ、分かんない...心がどっか行っちゃったっ...』
止まらない涙を拭いながら、てつやと付き合い始めてから今に至るまでの全てを彼に伝えた。本当は他の女なんて抱いて欲しくなかったこと。他の男に身体を許すのは何も楽しくなかったこと。あの日以降気持ちが動かないこと。そしててつやを愛してること。
『別れよ...私にはもう何も出来ない...これ以上遊んでるてつや見てると死にたくなるから、帰って...』
て「...帰らん」
それだけ言って彼は携帯を取り出し、誰かに電話をかけた。私が口を開こうとするとシーっと人差し指を立ててくる。
て「もしもし、俺もう行くの辞めるわ...いや、本気で好きなやつ居るからごめん。」
そう言って電話を切った彼はまた次の人にかける。そうやって1時間ほどかけて数多の女に連絡した彼は私の目の前で連絡先を消した。
て「明日携帯買いに行くから着いてきて?お詫びデート。ダメ?」
そうだった、私は彼のこの無邪気な笑顔が大好きなんだ。もう放任しないでね?
二重人格:Kanta リク ◎→←レイくん:Kanta リク
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時