遠回しは通じない:Ryo ページ19
「A、やっぱり一緒に寝ていい?」
『良いですよ?だからソファーは寝心地悪いって言ったじゃないですか〜』
彼女は俺の高校からの後輩ちゃん。勿論メンバーも知ってる。彼女と出会った時の印象は遠回しな言葉が通じない癪な子。それが可愛く思えた頃にはもうすっかり彼女の雰囲気や物言いに魅入られていた。他人の腹の内を探り合いながら牽制し合うようなこの時代に、彼女だけはオブラートに包まず、真っ直ぐ素直に気持ちを伝えてくれる。そんな彼女に惚れたのが高3の冬だった。成人した今も尚成就してないということはつまり俺のアプローチが効いてないということだ。
今日も彼女の家で飲み会をした後、そのままお泊まりするという、何も無い訳ない環境で健全に眠ろうとしていた。
『りょうさん狭いですかね?私ソファー行きましょうか?』
ベッドメイクをしながらそういう彼女は俺の下心なんて1ミリも理解してない様子。俺は臭い友人の家のフローリングでも寝れるんだよ?ソファーで寝るのが嫌だったから一緒に寝るって言ったわけじゃないのに、そんなことすら伝わらない。もどかしくてこれが愛おしい。
「A狭い?やっぱりソファーで寝ようか?」
『全然!一緒に寝ましょう?』
そう言ってくれると思ってた。布団に寝転んだ彼女の隣に潜り込むと、彼女は眠そうな顔で俺を見つめた。
『りょうさんがこんな近くにいると安心ですね』
「...安心しないで欲しいな」
『ん?どういう意味です?』
隣にいて安心されるだなんて完璧に脈ナシ。ムカついて今まで絶対に手を出さなかった彼女を強引に引き寄せ自らの腕に包み込んだ。彼女はびっくりした顔で固まっていたと思えば次の瞬間にはリラックスするように身体の力を抜き、頬を緩めた。
『りょうさんから私のボディーソープの香りがします』
相変わらず意味がわからない。成人した男が成人した女性を抱き締めてときめきもせずに俺から香る匂いの実況?
「これからもAとこうやって寝たいんだけど」
『あ!今流行りのあれですね?ソフレですよね?わー!!嬉しい〜!』
見事俺のアタックは彼女のとんちんかんにより、してやられた。なんでだよ。一緒に寝たい理由がソフレって何?全然伝わらない俺の下心を他所に彼女は俺の胸元に顔を埋めて目を閉じた。
「伝わらないなぁ...」
『りょうさんの体温伝わってますよ?』
馬鹿な子ほど可愛いって言うけど、これは長い戦いになりそうだ。
DOLL:Kanta リク ◎→←涕泣:Toshimitsu リク
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時