これは全部夢:Tsurime ページ13
アパートの隣に住む幼馴染のみっくんとはかなり仲良い。高校を卒業して、大学に入ってからも連絡は取っていたし、たまに会うと一緒に帰ってきたりもした。
家族全員寝静まった頃、ベランダに面している私の部屋の大きなガラス扉がコンコンと音を立てた。ビクッと身体が跳ねて、恐る恐るカーテンを捲るとそこにはみっくんが立っている。
『もぉ!!びっくりした!』
「シー!おばさん起きちゃうよ!」
『なんで来たの!?』
「喋ろうと思って。」
何も悪いことしてませんと言わんばかりの顔で私の部屋に上がり込んだ彼は、なんの遠慮もなくベッドに倒れ込んだ。はぁ...これは長いこと居座るつもりだな...
もう何年も隣同士だからすぐ会える方がいいじゃんとベランダのちゃっちい仕切りを壊したのは、もう8年ほど前の話で親同士も何か困った時に使えるからいいやと放置してる様子。
「差し入れ」
彼がポケットから出したのはアルコール度数9%の酎ハイだ。
『私お酒弱いんだって...』
「俺も弱いから大丈夫!」
『全然大丈夫じゃないし...』
それでもと誘われるままに缶をぶつけた。喉を通るアルコールが慣れなくて、頭がぼうっとして、何故か楽しい。
『ふふっ、』
「何笑ってんの〜」
『みっくん真っ赤な顔〜!笑』
「は!全然平気だし!」
『酔っ払いでしょ〜?』
「全然酔ってないし!ほら!見て!真っ直ぐ立ってる!」
『もー声がでかいって笑』
転ける前に座らせようと立ち上がった瞬間、みっくんは1歩踏み出した。勿論ゴツンとぶつかったわけだけど男性の身体の方が強い。ベッドに倒れそうになった私を支えようとしてくれたみっくんごと布団に倒れ込んだ。
『いてて...ごめん、大丈夫?』
「...うん」
『酔いすぎだよ?笑』
「...あんま酔ってないよ」
『いや、転ぶくらい酔ってるじゃん!』
「ほんとに酔ってない」
そう主張したみっくんは私の頬を両手で挟み、何も分からないままに唇が触れた。1分?もしくは5分?本当は数秒だったのかもしれない。永遠に感じた口付けはあっさりと終わりを迎えて、眉を顰めた彼の顔が見えた。
『な、にして...』
私の服に手を突っ込んだみっくんを見て、何故か抵抗出来ない自分が恥ずかしい。触れる手は無理矢理な様子もなくただただ優しくて、酔いを理由に私はそれを受け入れた。
『みっ、く...』
「ごめん...これは全部夢だから...」
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時