王道で攻めて:Jintan リク ページ2
待ち合わせ場所に着くと、既に彼はそこに居た。慌てて駆け寄ると私を認識してふわりと花を咲かせたように笑みを零す。まるで子供のように素直な感情表現に心が擽ったく、照れ隠しのように口を開いた。
『ごめん、お待たせ』
「全然待ってないよ!行こ!」
彼は高校の同級生。画面越しに見る彼とは違い、眼鏡を付けていない彼はどこかあどけなくて、ついつい足元に気を付けて!と過保護にしてしまう。その度に彼は分かりやすく頬を膨らませ、馬鹿にしすぎ!!だなんてぷりぷり怒る。
彼が予約してくれてた居酒屋の個室に入り、お酒を頼むと彼は堰を切ったかのように話し始めた。
「この前俺寿司大食いしたんだけどさ〜」
『あ、見た見た。めっちゃ美味しそうな高級寿司でしょ?』
「そう!たくまと一緒に食べたら俺だけお腹壊してさぁ〜」
『食べ過ぎでお腹痛くなっちゃったの?笑』
「うん、でもたくまは平気なの!なんで!?って!」
届いたご飯を美味しそうに食べながら、彼らしい少しオーバーな表現で動画の話をしてくれる。身振り手振りを付けて話してくれる姿を見ると、私に伝えようとしてくれてるんだと心が暖かくなった。
『あ、そう言えばたくま結婚したじゃん!2人から連絡来た時ビビったわ〜』
「ね?やばくない!?」
『私もじんも、もうそんな歳なんだなぁ...』
そう言いながらユッケを口に運ぶと彼は携帯片手に私の隣に腰を下ろした。
「見て?このYouTuberさんも結婚したしね、この人も結婚したの。ええ!?嘘じゃん!!って思わない?」
『テオさんは彼女居んの?』
「なに...なんでそんなん気にすんの」
急に不機嫌になったじんに小首を傾げながら変わらず口を開く。
『だって高身長高年収で面白いじゃん?』
ますます不機嫌になったじんは無言で私の腕をパンチし始めた。
『なになに、なんで急に暴力!?』
「俺に彼女居るかどうか聞いて!!」
『ん?彼女出来たの?』
「出来てないし!」
『不毛なやり取りだな...』
彼の意味不明な言葉を受け流しサワーを喉に流し込んだ私のグラスを、奪い取って机に置いた彼は私にゆっくり近付き、壁まで追いやった。
背中に触れる居酒屋の壁が各部屋の音を吸収して少しだけ震えてる。トンと私の顔の横に手を付いた彼は心決めたかのように口を開いた。
「俺の彼女になって欲しいんだけど...」
かっこいいのに顔が真っ赤な彼を見て不覚にもときめいてしまい、ゆっくりと首を縦に動かした。
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時