誰？.2

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個室に通され、とりあえずいつも通りビールを頼んだ。




｢…はぁ……｣


｢なーに？ヒョンと飲むのにそんな浮かない顔して。｣


｢……｣


｢無視しないでユンギ｣





別に、と言いながら、運ばれてきたビールをひと口飲んだ。


怪訝な顔つきのジニヒョン。ため息をひとつ、重々しく口を開いた。






｢……いや、前話したやつのことが気がかりで、｣



｢あぁ。うちの学部のキムテヒョンね。｣




ジニヒョンには大体のことを話してある。なんだかんだヒョンのことは信頼してるから。


それにAとテヒョンと同じ学部のヒョンだから、たまに話を聞いたりもしてる。


…Aのことを信頼してないわけじゃないけど、それでも、Aのことは全部知っておきたいから。




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｢…テヒョンのこともだけど、…結局ストーカーも捕まってねえし、｣



｢あぁ……｣



酒をあおりながら、ジニヒョンが目を伏せる。




そう。最近はテヒョンのことでいっぱいいっぱいだけど、ストーカーの件が片付いた訳では無い。



最近被害がないとは言ったって、犯人が捕まったわけではないし、Aも不安がってるだろうから。





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｢……本当、俺、彼氏なのになんも出来なくて、｣



｢……


今日もAちゃんとキムテヒョンふたりで帰らすしね？｣



｢トドメ刺すのやめてくれます？｣




はは、と笑うヒョンをギロりと睨む。



そんな俺を見兼ねて、キムテヒョンか、とヒョンがボソッとつぶやいた。





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｢…ユンギを過度に意識して真似する、ね。



その症状自体に名前はないけど、一種のモデリング、ミラーリングかな。



その人自身になりたい、そんな意思の表れだろうね｣






そう言ってヒョンは、ぐい、と一気にビールを飲み干した。さすが心理学部の有望株と言われてるジニヒョン。






｢……俺に？｣



｢そう。たぶん、彼氏のユンギそっくりになることで、自分もそうなれると思ったんじゃない？｣






それを聞いて黙りこくった俺に、またひとつ、ヒョンが笑った。





｢まぁ、心理学的見解だから。あんまりあてにしないで。｣

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