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「……え、」
可笑しい。あの人の話によれば、ユンギヒョンはすでにアメリカに行っていたはず。
…それに。
多分だけどヒョンは、自分を突き落とした犯人が僕だと知ってる。
「……じゃあ、どうしてここに?」
モニターホンの前で固まっていると、画面の向こうのユンギヒョンが、もう一度インターホンを押した。
同時にピンポーン、と鳴り響くチャイム。
「……おい、開けろ。」
通話口から聞こえるノイズ混じりのそんな声に、僕は仕方なくロックを解除した。
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そうして今、ユンギヒョンは僕の座る反対側のソファに腰掛けている。
「…久しぶりだな。」
「え、あ、……はい。」
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当たり前だけど、目を合わせられない。
あんなことをしたんだ。
目の前にいるのは被害者。僕は加害者。
……どんな顔して、ヒョンと向き合えばいいのか。
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「おい。早速だけど、一発殴らせろ」
「……はい。
え、はい?」
僕の返事なんか聞かず、すでに体制に入ってるユンギヒョン。
状況も何も飲み込めないまま、え、え、と狼狽える。
そうして、待ったナシに僕めがけて飛んできた拳に、思わず目を瞑った。
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……けど。
待てども待てども、来るであろう痛みも衝撃も、やってこない。
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うっすらゆっくり目を開けると、
「……おらっ、」
びしっ、とデコピンをされた。
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「……え?」
ぽかんとして額を抑える僕に、ユンギヒョンがしたり顔で笑う。
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「……これでおあいこな。お前があの時したことも、これでチャラだ。」
「……え、」
その言葉で初めて、全てを理解する。
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「……
ごめん、なさ、」
ポロ、と涙が一筋頬を伝った。
今になって、やっと、溢れてきた涙。
あれから一度も泣かなかった。いや、僕なんかが泣いちゃいけないと思っていた。
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そんな僕を、ユンギヒョンは、許してくれた。
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uni(プロフ) - 塩飴さん» 本当に塩飴さまのような素敵すぎる読者様に読んでいただけで、本当に幸せです。私の作品に出会ってくださり、本当にありがとうございました!これからもぜひ、よろしくお願いしますね( ;∀;) (2020年5月30日 23時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - 塩飴さん» 塩飴さん、こちらも読んでくださったんですね…!?本当にうれしいです( ;∀;)書き手として、そのような感想をいただけて本当に鼻が高いです笑 さっきからずっとにやにやしてます。(おい) (2020年5月30日 23時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - もゆさん» サイコパスグクくんも、純粋テヒョンくんも、男前ユンギさんも、みんな愛していただけて幸せです(⌒∇⌒)そんなうれしい感想をいただいてしまって、さっきから本当ににやけが止まりません!!すごくうれしいです!私の作品に出会ってくださってありがとうございました! (2020年5月30日 23時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - もゆさん» もゆさん、本当に素敵なコメントありがとうございます( ;∀;)全部読んでくださったんですね…!感激です。こんな素敵な方に読んでいただけて、本当に本当に幸せです。 (2020年5月30日 22時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
塩飴 - たしかに毎回必ずグク出てきましたもんね。ストーカーだからか、、あと、描き方うますぎです。その視線は誰?のとこ、鳥肌立ちました。 (2020年5月30日 15時) (レス) id: a6b86ec691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uni x他1人 | 作成日時:2020年3月12日 22時