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「お大事に」
そんな看護師の声を背中に、私たちは病院を出た。
グクが目を覚ました日から今日まで、本当にあっという間だった。
『グクの回復力やばすぎでしょ』
「いやー。本当に俺もびっくりした。俺すごい」
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そんな他愛もない話をしながら、ふたりで、歩く。
三月にしては寒い外気に、ぶるっと身震いする。そんな私の右手を、グクが優しく握った。
隣を見上げれば、はっと白い息を吐きながら笑ったグクが、私を見つめていた。
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『…ねえ、どうして、こんなに私のこと、守ってくれるの?』
ポツンと聞いたその言葉は、私たちの歩みを止めた。
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ただ、純粋に疑問だった。
どうして私なんかを、そんな怖い思いをしてまで守ってくれるのか。
どうして私なんかを、こんなに愛してくれるのか。
こんな、何もない私なんかを。
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「…
別に理由なんかないだろ。面白いこと聞くんだな」
『…けど私はグクに何もしてあげられてないよ。』
そうだ。私は今まで、グクになんにもしてあげられてこなかった。
ただ、守られてるだけの、能無し。
そんなの、おかしい。
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「…本当バカだな、お前。俺はお前がいてくれればそれでいいんだよ。」
そう言って呆れたように笑って見せるグクが、また私の手を引いて歩き出した。
けど、私は。
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歩き出さない私に、A?とグクが振り返る。
『…
ねぇ、グク。もう大丈夫だよ』
「…は?」
『もう、心配しないで。次は私の番だよ。』
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そうだよ。次は私が、グクを守る番だよ。
こんなバカげたこと、もうやめよう。
私が全部、終わらせてくるから。私たちの幸せを脅かしてくるものは、全部。
私が、壊してあげるから。
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「……A?」
『…あ、ごめん。帰ろっか。寒くなってきたね』
そう言って今度は、私がグクの手を引いて歩き出した。
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「なぁ、お前
…今、何考えてる?」
そんなグクの言葉に、私は笑ってこう答えた。
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「私たちが幸せになれる方法」
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uni(プロフ) - 塩飴さん» 本当に塩飴さまのような素敵すぎる読者様に読んでいただけで、本当に幸せです。私の作品に出会ってくださり、本当にありがとうございました!これからもぜひ、よろしくお願いしますね( ;∀;) (2020年5月30日 23時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - 塩飴さん» 塩飴さん、こちらも読んでくださったんですね…!?本当にうれしいです( ;∀;)書き手として、そのような感想をいただけて本当に鼻が高いです笑 さっきからずっとにやにやしてます。(おい) (2020年5月30日 23時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - もゆさん» サイコパスグクくんも、純粋テヒョンくんも、男前ユンギさんも、みんな愛していただけて幸せです(⌒∇⌒)そんなうれしい感想をいただいてしまって、さっきから本当ににやけが止まりません!!すごくうれしいです!私の作品に出会ってくださってありがとうございました! (2020年5月30日 23時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - もゆさん» もゆさん、本当に素敵なコメントありがとうございます( ;∀;)全部読んでくださったんですね…!感激です。こんな素敵な方に読んでいただけて、本当に本当に幸せです。 (2020年5月30日 22時) (レス) id: 6aca3b67d4 (このIDを非表示/違反報告)
塩飴 - たしかに毎回必ずグク出てきましたもんね。ストーカーだからか、、あと、描き方うますぎです。その視線は誰?のとこ、鳥肌立ちました。 (2020年5月30日 15時) (レス) id: a6b86ec691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uni x他1人 | 作成日時:2020年3月12日 22時