100万回目の告白 7 ページ7
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Aと話さなくなって、一年半が経った。
あいつは未だあのラクダと付き合っているらしい。
高校3年生になっても、相変わらず俺たちは運命に阻まれているのか別なクラスで、俺はそれに少し安心していた。
ラクダの名前を久しぶりに聞いたのは、やはりちょっとした噂話で、「知ってる？鎌田って東大志望らしいよ」と、うちのクラスの元バレー部の奴が言っていたのを聞いたことだ。
日本で一番頭のいい大学と言われているそこへ、親しくないにしても知った名前が目指しているとなると、少し背中がソワソワした。
賢いんやな、あのラクダ君も。
あいつは、どうするのだろう。
あいつのことだから、今度こそ留学でもするのだろう。今度こそ、俺を気にせず、自分の進路を選ぶことができる。ちょっとだけ、気が楽になった。
「村上って、Aさんと同中でしょ？」
それは、あのバレー部の、ラクダが東大志望らしいと噂をしていたうちのクラスの男子だった。
「せやけど、なんで？」
「どんな子なの？あ、いやAさんがっていうか、彼氏の鎌田の話なんだけど、ちょっとやばいっぽくて」
「やばい？なにが？」
「受験ノイローゼっていうの？結構彼女にキツく当たってるらしくてさ」
「…まじで？」
「うん、だからAさんてどんな子なんだろうって気になってさ」
「……悪いけど、最近あんま喋ってへんからなぁ。普通の子やと思うで」
俺が知ってる、あいつは。
そんな男には負けない。
強い子だった。
あいつは、俺の親友だった、あいつは。
それが引き金となったように、鎌田の噂を、かなり頻繁に耳にするようになった。
俺にとってそれは、あまり聞いていて気分の良いものではなく、
かと言ってそれに何か自分で行動するわけでもなく、ただ、
嫌な噂を耳に入れないように、受験勉強をした。
高3の秋頃になると、推薦やらAOやらで、進路が決まる同級生も増えてきて、それに伴ってクラスでちょっとしたいざこざが生まれることもあったし、
俺自身も中学の頃ほど上手く偏差値が伸びず、むしゃくしゃしていた。
放課後に受験対策講習が行われた。自分の使う科目に合わせて自由に受けていいもので、塾や予備校に通っていない生徒は、かなりの人数がそれに参加していた。
俺は数学と古文だけ、それを受けることにした。
全く必要ないはずの天才のあいつも、同じ講習にいた。
一瞬ギョッとしたものの、隣にあの濃い顔が座っていて、頭が冷えるのを感じた。
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作者名：猫彦 | 作成日時：2021年2月20日 11時
