02:捨てるから ページ4
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教室に入ると、楽しそうに笑う隆と姫治さんが目に映った。
その瞬間、さっき彼女が言っていたことは本当なんだと理解してしまった。
隆…そんな風に私のこと思ってたんだね。めんどくさかったんだね、清々してるんだね。
分かった。ならもう私は君を好きな気持ちを全部捨てよう。
想い続けても無駄なら、傷つくなら、捨てた方がきっといい。
姫治さんだって、クラスや部活での雰囲気と全然違うから分からなかったけどアナタの本性はそれなんだね。
なんかもう疲れちゃった……あんまりクラスに居たくないや。
部活も少し休も……
溜息をついて机に伏せて目を瞑る。
いきなり全部捨てちゃうなんてきっと不器用な私には無理だろうから、少しずつ捨てていこう。
その後はまた出会いを待つだけ。
でもきっと、隆以上に好きになる人は現れないだろうな…………
なんだかんだやっぱり好きで、じわじわ目が熱くなってきたとき
今一番聞きたくない声が私を呼んだ。
「大丈夫か、A。さっきから体調が悪そうだけど……」
『いや…え?』
思わず彼の方を見てしまって、目が合った。
お互い咄嗟に目を逸らす。
え、なんで???なんで私の心配とかしてるの??
めんどくさいヤツの体調気にするとか何考えてるの??
するとやっぱり、姫治さんが乱入してきた。
「ねぇ、モモのことは心配してくれないの?彼女なのに」
わざとらしくクラスメイト全員が聞こえるような声でそう言った。
「えっ……三ツ谷くんの彼女って雅火さんでしょ??」
「別れたってこと??」
一気にザワつくクラスの中、恐る恐る隆の方を見た。
もしも…もしもだよ?姫治さんの言っていることが嘘なら、否定してくれるよね隆。
だけどそんな期待を打ち破るように、気まずそうに目を逸らしたまま隆は姫治さんの元へと戻っていく。
そっか……今のは単なるクラスメイトを心配しただけだったんだね。
少しでも期待しちゃってバカみたい。
クラスメイト達の問いかけを無視してまた机に伏せて目を瞑る。
姫治さんが勝ち誇った笑顔でこちらを見ているのがとてつもなく嫌だった。
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むぎ(プロフ) - shiroさん» アキちゃんを好いてもらえて嬉しいです…!!続編では大活躍するので是非読んでもらえれば…! (2021年10月9日 8時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
shiro - アキちゃんいい子、好き! (2021年10月9日 4時) (レス) @page35 id: 2e61a566e8 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - ゆで卵?さん» すみません!!ご迷惑をお掛けしてしまいました…!!続編、投稿したので是非読んでくださると嬉しいです! (2021年10月8日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - マナさん» アキちゃんは味方ですよ!悪女との会話…の件はネタバレになってしまいますので… (2021年10月8日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - むぎさん» アキちゃんは最後まで主人公の味方で悪女との会話を隠れて盗み聞きしてしまう……のは書きますか? (2021年10月8日 20時) (レス) id: 27a7acbc37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2021年9月25日 0時