振られた【三ツ谷隆】

26：味方だから ページ28

アキside






「ほんっと意味分かんない！タカちゃんの彼女はモモなのに…！！」





狭い更衣室の中、モモちゃんのイラついた声が響いた。


ブラウスのボタンを留めながらモモちゃん達の声に耳を傾けてみる。





「三ツ谷くんのことたぶらかしてるんじゃない？雅火さん」


「ワザと当たったとかありそー」





いつもモモちゃんと一緒にいる女子達は相変わらず彼女の味方で


想像でしかないことを平気で周りに流していく。





雅火ちゃんがそんなことするわけないじゃん。彼女のこと何にも知らないくせによく言うよ。




雅火ちゃん大丈夫かな。バレーボールは比較的柔らかいから良かったものの…絶対痛かったよね。





三ツ谷くんは何が目的なんだろう。これ以上雅火ちゃんのこと傷つけたら許さないよ。








……雅火Aちゃん。去年同じクラスだったけど全然話せなかった。


雅火ちゃんは凄く人気のある子だっていうのは知ってた。クラスの皆が沸き立っていたから。




でも皆、彼女に気を使っちゃって中々話しかける人はいなかった。

高嶺の花みたいな存在だったから。




そんな私も全然話しかけられなくて後悔してた。

そしたらまた同じクラスになって、今度こそって勇気を出してみたの。




凄いドキドキした。同い年なのに緊張して……だけど、雅火ちゃんは





優しくて可愛らしい、どこにでもいる女の子だった。






高嶺の花とか言われてるから、誰とも関わりたくないって感じの子かと思っていたけど全然そんなことなくて。



むしろ話しかけてくれて嬉しいって言ってくれた。




皆が勝手に雅火ちゃんのことを色々言ってたり勝手に気を使っていただけだった。


そんなの彼女は望んでいなかったのに。









「__！アキ！聞いてるぅ？」



「…えっ、あ、ごめん。ちょっとボーっとしてて」




誰かと思えばモモちゃんだ。雅火ちゃんを傷つけてる張本人。






「あのね、アキ…本当はこんなこと言いたくないんだけどぉ……雅火さんと関わるのやめておいたほうがいいと思うなぁ…」



「…えっ、なんで？」



「モモね、雅火さんにタカちゃんの件で色々されててぇ……アキにも被害が及ぶんじゃないかなって…アキには傷ついて欲しくないのぉ！」






うるうるした目で訴えかけてくる。

わ、モモちゃんは友達思いのいい子だね……ってなるわけないじゃん。








そんな嘘つくなら、私ももう容赦しないよ？


私は雅火ちゃんの味方だから。

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