振られた【三ツ谷隆】

20：降ろして ページ22

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「大丈夫か？立てるか？」




そう言って手を伸ばしてくる隆。ダメだ、この手を取ったら。








『大丈夫だから…ほっといてよ』


「顔に当たったんだろ？冷やさなきゃダメだ」


『授業終わったら自分で行くから……って、ちょっと！？』







断ったはずなのに手を差し伸べるどころか抱えられた。









「今行かなきゃ腫れちまうだろ？可愛い顔が台無しになっちまう」



『なっ…！！』







何言ってるの！？私はまた姫治さんに目をつけられるのが嫌なんだって！！







『目立つし…！自分で歩くから降ろして！』


「Aは意地っ張りなとこあるよな。いいから抱えられとけ」







アナタの抱え方、俗に言うお姫様抱っこなんです。ホントに降ろして下さい。








「コイツは俺が連れていくから、先生に言っといてくれる？」


「わ、分かった…」






アキちゃんも何が何だかという顔をして首を縦に振っていた。







『こういうのは彼女だけにしなよ……』



「…うるせ」









他の誰にも聞こえないくらいの声で呟く。




うるせ、じゃないの。このままだとマイキー君にまで被害が及ぶ可能性が出てくるんだから…





でも反抗したらもっと目立つから、もう大人しくするしか手はない。










目を瞑ると、隆の足がピタリと止まった。







嫌な予感がして目を開ける。










「……タカちゃん、雅火さん抱えてどこ行くの？」









目の前に立ちはだかったのは、冷たい目をした姫治さんだった。

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