振られた【三ツ谷隆】

18：アイツの女 ページ20

マイキーside









『す、すみません…！前をちゃんと見てなく、て………』





背中に何かがぶつかって、思わず声のする方を見た。


…あ、コイツ確か……





「オマエさ、三ツ谷の女だろ？ちょっと俺に付き合って♡」





無理矢理コイツを抱き抱えて歩き出す。


よく三ツ谷がコイツの写真を見せながら自慢してたからよく記憶に残ってる。




なのになんでコイツはこんな寂しそうな顔してんだよ。






それが気になったから連れ出した。それだけだった。









海近くまで連れてきて、途中で買ったどら焼きを一つ手渡す。


あ、どら焼き好きか聞くの忘れてた。




でもまぁなんか嬉しそうだし、いっか。





見れば見るほど惹き込まれるような魅力がコイツにはあるようで


どら焼きを頬張る姿さえ、カワイイと思ってしまう。









話を聞いてみれば、三ツ谷に振られたらしい。性格の悪いヤツに奪われたとか。なのに何故か三ツ谷が関わってくるって頭を抱えていた。








なんでこんなカワイイヤツ振れんの三ツ谷。

あんなに毎日毎日コイツの話を俺らに聞かせてたくせに。

コイツを幸せにしたいってあんなに言ってたくせに。







なんでこんな寂しい顔させてんだよ。何やってんだよオマエは。









俺なら……こんな顔させねぇ。









「…そっか、じゃあ今オマエはフリーなんだ」



『えっと…まぁそんな感じ……』



「じゃあ、俺がオマエを貰ってもいいってことね」



『うん…じゃなくて、え？今なんて……』






もう誰のモノでもないのなら、俺がオマエを笑顔にしてやりたい。






胸の近くに付いている名札が目に入る。


雅火とかいう名前だったな、そういえば。






「まずはダチってとこからか。俺マイキーな。ヨロシク、雅火」




『は、はぁ……』







戸惑う雅火を家まで送って、その日は別れた。

19：体育にて→←17：ストラップ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す