恋じゃない…… * Kento.N

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Fuma side









樹「なんか最近A大人っぽくなった？」









あの日以来、Aは変わった。







何が、というのは特にわからないけれど

なんだろう……………………









どこか、自分を隠して抑えてるような感じ。









それを周りは大人っぽくなったと言うけれど

俺からしてみれば苦しくて苦しくて辛そうなんだ。









『風磨、どうしたの……？』









《…………………………ちょっと来い。》









お昼に向かう前に、この嫌な感じを払拭したくて

人気のない開かない屋上への階段の踊り場に連れてく。









『ねぇ風磨、どうしたの……？』









《それはこっちのセリフ。》









『…………………………へ？』









わかってるよ、全部。

なに？みたいな気づいてない演技をしたって

無理して笑って、辛いのを閉じ込めてるのを。









《……そんな顔、見たくねぇよ。》


『ふう…ま……………………？』









中島に、気持ちが向いてる顔なんて。









《見たくねぇんだよ………………》









驚いて、少し開いた唇に

無理やり自分の唇を押し付ければ









『んんっ…ふまっ………………!!』









苦しそうに、俺の胸を叩く。









わかってるよ、全部。

こんな事したって全部が裏目に出るって。

余計Aを苦しめるだけだって。









余計、中島を見るようになるって。









だけどそれを止められないのは自分がまだまだガキで

Aから離れられない証拠。









『…っはぁ………………ここ、学校だからっ……』









苦しそうなAを解放すれば

中島の時みたいに赤くは染まってなくて、

むしろ全く関係ないことを話し出す。









《もしもの時は、2人でどこか逃げればいい。》









まるで、それが狙いだったかのように

知らないうちに口が紡ぐ不協和音。









『………………そう、だね…。』









それに今までのような歯切れのなさで答えた

大好きなはずのAの声は綺麗にハモらなかつた。









どこか、リズムが崩れ始めた。









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