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さっきとは違って、短く触れるキス。
「はい、1回。これでいい？」
『……まだ』
「"まだ"、何？」
『意地悪』
「言わないなら してあげない」
『……』
「ほら、こういう時なんて言うの？」
『……もっと、したい』
「はぁー、やっばいな」
何度もくっついては離れるキス。
息苦しくなって、唇が離れた瞬間に息が切れる。
『はぁｯ、』
「舌、出して」
『……っ、』
「ふふっ、欲しがりさん」
……なんでこんなことになっているんだろう。
考えはどんどん冷静になっていくのに、身体が言うことを聞かなくてされるがまま。
どんどん深くなるキスに溶かされそう。
「ﾊｧｯ……もう終わり！」
唇が離れて、身体に回された手もほどかれる。
「もうこれ以上は俺がダメ」
『……』
「そんな目すんなよ」
熱があるときみたいに身体が火照る。
何してるの、私。
穴があったら入りたい。
『松倉さん、私……』
「お風呂、寝オチしてまだだったでしょ？入ってきなよ」
『え？』
「変な意味じゃなくて……いや、変な意味かもしれないけど。今このまま一緒にいたらめちゃくちゃにしたくなる」
『……へ？』
「だから早く行ってきて。傷つけたくないから」
立ち上がろうとすると、思うように動かない身体。
『あれ、』
「どした？」
『……腰、抜けちゃったみたい、です』
「は？嘘でしょ？」
『足腰にチカラが入らなくて』
「……あーもう、わかったよ。ベッドまで運ぶから。俺もさっき寝オチしたし先にお風呂入ってくる」
『私ソファーで寝ます』
「いいから、今日は大人しくベッドで寝て」
今日ベッドに運ばれるのはこれで2回目。
お姫様抱っこをしてくれる。
落ちないように松倉さんの首に手を回すと、必然的に顔は近くなる。
「……あんまこっち見んなよ」
『どうして？』
「だから、めちゃくちゃ抱きたく」
『いい！いいです、やっぱり言わなくて』
ベッドにゆっくりおろして、毛布をかけてくれる。
「お風呂上がったら声かけるけど、寝てたら起こさないから明日入ってね。じゃ、おやすみ」
『……はい、おやすみなさい』
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作者名：愛生
| 作成日時：2022年9月25日 18時
