雨の日のアルタイル (ページ35)

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お風呂からあがると、テーブルに突っ伏して寝ている様子の松倉さん。

私がお風呂に入る前より空き缶が増えている。

松倉さんは後で起こすとして、先にさっき海人から受け取った印鑑をしまおうかな。

もらった紙袋を開けると、中には印鑑と、私が好きな星をモチーフにしているジュエリーブランドのロゴが入ったお手紙と、シルバーの箱があった。

お手紙を開くと"誕生日おめでとう。これからもよろしく"と海人らしい字で書かれていた。

……そっか、バタバタしてて忘れてたけど私今日誕生日だったんだ。

メッセージの感じからすると、きっと前もって買っていてくれていたんだろうな。

箱を開けると、三日月がモチーフになったピンクゴールドのリングに誕生石がはめ込まれていた。

誰からもお祝いされなかった誕生日、久しぶりだったな。

そんなことを考えながら、箱を少し動かして中で輝く誕生石を見つめる。

海人、どんな気持ちで別れた私にこんなモノくれたんだろう。

いつもプレゼントは奮発してくれて、私が求めていたもの以上のものをプレゼントしてくれて。

あぁ、もうこんなの引きずってるみたいで嫌。

「……何もらったの？」

すぐ後ろから声が聞こえて振り向くと、いつの間にか起きていた松倉さんが私の手元を見る。

「ごめん、なんか見つめてるの気になっちゃって」

『リング、もらいました』

「何かのプレゼント？」

『……誕生日』

「え、まじ？今日？」

『まじ、です』

"自分の誕生日忘れてたんですけどね"と笑う。

誕生日に自分の家がなくて居候している私、情けない。

「Aちゃん、誕生日おめでとう」

今年の誕生日、直接祝ってくれたのは松倉さんだけ。

嬉しいけど、切ない。