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「…無理」
上から聞こえてくる低い声。
「理由無いのに諦めるとかできない」
『…理由言ったじゃん』
「理由になってないと思った。
俺の隣が似合うとか似合わないとか関係ないから。恋愛って、人の目気にしてする事じゃないと思う」
『…近づいちゃだめなの、』
「勘だけど、
それも俺が諦める理由にはならない気がする」
『…』
「…なんか諦め悪い男みたいになってるな。
まあ事実だしいいけど。
とりあえず、一緒に帰るのはこれで最後にする。
でも俺諦めないから」
『…なんで、目黒はいつもそうなの』
「そうって？」
『いつも、私しか見てないみたいなこと言うじゃん。
人より周りの目気にしないじゃん。
……ついてけないの。
そんなに一途になった経験ないし
人の目を気にするしかないしかない私には、
目黒といるのはハードルが高いんだよ、！』
当たり前に、
こんなことが言いたかったんじゃない。
『目黒のこと嫌いじゃないよ？
さっき言ったけど、むしろ好きだよ。
でも、未だに、
"早く可愛い彼女作ればいいのに"って思うんだよ。
見た目もそうだけどそれ以外でも、
私と目黒、違いすぎるから、』
言いたかったことでは無いけど、
思っていたことではあった。
「…そっか」
昼間独特の草の匂いを、風が連れてきた。
同じところに2人立ち止まったまま。
「…"早く可愛い彼女作ればいいのに"って、
その彼女にAちゃんがなるっていうのは、違うの？」
視界が潤んできたのは、
目に入った汗のせいだと思う。
「………ごめん、ずるい質問だね。やめる」
珍しい前言撤回。
素直じゃない私は、前言撤回なんて出来ずに。
『……ずるい。ずるいよ、』
私の中の私が、口にするなと言っている。
ことに気づいたのはしばらく経ってからだった。
『私が目黒を、苦しめてるだけじゃん、！』
「Aちゃん」
『……っごめん帰る、』
こうやって、すれ違っていく。
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作者名：MooN | 作成日時：2022年1月31日 20時
